プロ10年間一軍出場0からDeNA常務になった男 笹川博氏が半生を振り返る(その2)

DeNAベイスターズ元常務・笹川博氏
DeNAベイスターズ元常務・笹川博氏

 プロ野球実行委員会になくてはならなかった男、DeNAベイスターズ元常務・笹川博氏が球界を離れてから1年が経った。ここで2年前に行ったトークショーで明らかになった彼の半生を振り返ってみたい。

 (聞き手・蛭間豊章=2019年6月1日・東京ドームホテル)

 ―笹川さんの現役引退後のお話をうかがいましょう。

 「現役を辞めた1982年、先輩に紹介されてサラリーマンになりました。ところが、出勤して3日後に球団から『スカウトに欠員が出来た。出来たら、やってみないか』と電話をもらいました。“1週間考えさせてください”ともったいをつけましたが、畑違いの仕事をするよりも球界に残れる、とうれしかったことを思い出します。スカウトは1年間でしたが強烈な印象だったのが、市立川口高のエースとして埼玉県大会準優勝し注目を集めていた斎藤雅樹。あの巨人の大エースになった斎藤です。当時の市立川口高監督は元阪神で通算31勝した内山清さん。その内山さんに、打撃もいいし肩も強いので私なりに『捕手に転向させてみたら』と話したところ、内山さんは激怒。『大洋には絶対やらない』と言われ退散。この年の大洋の1位はリーグ戦通算50勝2敗の九州産業大の大畑徹投手でしたが、1勝も出来ずに引退しています」

 「キャンプではスカウトも手伝いをしていましたが1983年、ブルペンでピッチング練習を見ていたときに関根潤三監督に『ウチの投手はクセが分かりますね』と言ってしまいました。すると、関根さんが『おまえ、それを証明して見せろ』と言うから、ブルペンに入って捕手となって、投手に『おまえ、ノーサインで好きな球種を投げろ』。そして、ことごとく球種を当てると関根監督から『チームについてスコアラーをやってくれ』と言われた。自分はスカウトをまだ続けたかったのですが社長にも直談判され、スコアラーに転向。若手投手へのクセの矯正するなど、ビデオ係も含めて3年間やりました。データは誰がつけても結果は変わりません。ですが私は、選手に同じデータでも、あまり短所を指摘するのでは無く、長所は引き出しながら伝えるというのが長けていたのでしょう。選手からも感謝されることが多かった。そのコメント力が球団は買ってくれたのでしょうか。

 フロントの外国人選手獲得をつかさどる運営部長、営業部長などを経て取締役・業務部門統括になってもう10年以上。球団がTBSからDeNAに親会社が交代した2012年以降も、11人いた球団取締役が3人になったものの、そのまま生き残ったのは実行委員会などで手腕を発揮していた笹川さんだけでした

 最後に実行委員会についてお話ししていただきましょう。

 「今は野球を知らない、野球経験の無い、親会社から出向する人を出す球団が少なくない。(東京五輪で試合を中断することに関しては)、熊崎コミッショナーが、試合を中断しないと『プロ野球界が非国民にされちゃうからね』のコメントに分かるように、中断も仕方ないでしょう。中断期間中の対処法も実際はセ・リーグとパ・リーグが違うんですよ。細かいところは言えませんけどね。今の野球界の一番の問題は20年後、30年後、野球界がどうなっているかです。野球振興ですね。今や、野球を知らない子供たちだけで無く、小、中学校の先生も経験がないというケースが多いです。先生方への野球を教えることも行っていますが、幼稚園くらいの子供たちから野球遊びという形で接する機会を増やしていこうと思ってます。何が正解かどうかは分かりませんが。昔はそこらじゅうに野球好きなおっさんがいたのに今はいない。それだから、遊びの部分から野球を覚えて欲しいと思っています。また、トトカルチョをやらないことに関して、私は不思議でしょうがない。それをやれば小学校を含め、グラウンドへの助成金などに回ると思っています。(今回のオリンピックに関しては)出場国の数もわずか6チーム。あまりにも、普及していないのが如実になっています。野球界を少しずつ変えていかないといけない。本当のワールドシリーズをやって欲しいというのが、私の願いです」(ベースボロジーvol14掲載)

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