◆高校野球春季大会 ▽岩手県・準々決勝 花巻東9―3 一関学院(18日・一関運動公園野球場)
岩手の準々決勝では、花巻東が佐々木洋監督(45)の長男、麟太郎内野手(1年)の活躍もあって9―3で一関学院に勝利し準決勝進出を決めた。183センチ、117キロと規格外の大型1年生は、初回に2試合連発となる先制ソロ。2試合をまたぎ“3打席連発”をマークした。山形の準々決勝では、昨秋県王者の日大山形が山形東に5―1で勝利。6回から登板した滝口琉偉(3年)が4回10奪三振と力投をみせた。
豪快な一発だった。初回1死走者なし。カウント1―1からの3球目だ。花巻東の1年・佐々木が、フルスイングで直球をとらえた。打球は右中間へ高々と舞い上がったが、本人は全力疾走。二塁ベース手前で白球が右中間席に着弾したことを確認すると、ようやくスピードを緩めた。「入るとは思わなかったです」と照れくさそうに笑った。
規格外の“3打席連発”だ。16日に行われた平舘との2回戦(12○1、5回コールド)。「2番・一塁」で先発した1年生は、打者一巡16人の猛攻で12点を奪った3回の第2、第3打席で、ともに3ランを放っていた。これで、2試合をまたいでの3打席連続アーチ。4月に入学したばかりの1年生が、すでに高校通算7本目をマークした。
中日・八木智哉スカウト(37)は「中学から高校に上がってまだ数か月なのに、あれだけシャープに振れる1年生はなかなかいない。規格外じゃないですか」と大絶賛。また同スカウトは、2回2死二塁、タイミングを外されながらも右越えに適時二塁打を放った場面にも注目。「しっかりと自分のツボを知っているスイング。素晴らしい選手ですね」と手放しでたたえた。
パワーを生かした鋭いスイングは研究の成果だ。メジャー歴代最多の通算762本塁打を放ったバリー・ボンズのフォームを動画で見て研究。さらに同校の先輩でもある大谷翔平(エンゼルス)のスイングも参考に、振り込みを続けてきた。「自分にはセンスがない。参考にするのが大きなポイントです」と明かした。
今季の大谷と同様に、現時点で2番を任される麟太郎の目標は、もちろん日本一だ。「チームのために打つ。それが一番の目標です」。指揮官として大谷ら多くの名選手を育てた父は「(打線に)長打力がなくて(今春の)センバツは出られなかった。長打が打てるので楽しみ」と期待を寄せた。花巻東に将来が楽しみな逸材が現れた。(高橋 宏磁)
◆佐々木 麟太郎(ささき・りんたろう)2005年4月18日、岩手県生まれ、16歳。幼い頃から江釣子スポーツ少年団で野球を始める。江釣子中では金ケ崎リトルシニアでプレー。同中3年時には生徒会長も務めた。花巻東では1年春からベンチ入り。右投左打。