“太平洋ひとりぼっち”辛坊治郎さん、アメリカ到着まで航程残り46%

大阪・岬町の淡輪ヨットハーバーから出港前、ヨット上でサムアップポーズを見せる辛坊治郎氏
大阪・岬町の淡輪ヨットハーバーから出港前、ヨット上でサムアップポーズを見せる辛坊治郎氏

 太平洋ヨット横断に再挑戦中のジャーナリストでニュースキャスターの辛坊治郎さん(65)。先月9日に大阪を出発してから、早くも40日が経過した。

 2013年、全盲のヨットマン・岩本光弘さんとのタッグで太平洋横断に挑戦した際には、福島を出航した5日後にヨットがマッコウクジラと衝突して遭難した。8年がかりのリベンジで、今回は単独無寄港横断。まさしく“太平洋ひとりぼっち”だ。

 基本、全自己負担での再挑戦だが、船用事業を展開する「古野電気」(兵庫県西宮市)が航海用レーダーなどの機器を提供している。同社のホームページによると、辛坊さんの自家用ヨット「KaorinV(ファイブ)」はゴールまで4364キロメートル、目的地・米サンディエゴまでの航程の53・7%に達している(18日午後5時現在)。

 コロナ下でのアメリカ到着へ「ビザの有効期限のうちに」と6、7月の到着を想定しての挑戦だったが、順調のようだ。出港時、辛坊さんは「レースじゃないから、流れていけば、そのうち着く。水と食料は十分ある」と話していた。

 テレビレギュラーは降板しているが、昨年に放送が再開されたばかりで「申し訳ない」と辛坊さんが冠名を残したニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」(月~木曜・後3時30分)では「生存確認」と題して太平洋上の辛坊さんに生電話するコーナーも。大阪在住の記者はこれを聞くために先月、ラジコプレミアムに加入。古野電気のホームページを見て、想像を膨らませている。

 番組での報告などによると、今月8日に日付変更線(経度180度地点)を超えた。経度175度を超えると日米間の取り決めで、万が一の時は日本ではなく、アメリカが救助することになるとか。

 生電話の「台風のような風がずっと吹いている感じ」「毎日、生きるか死ぬかの勝負だから精神力は鍛えられる。戻ってきた時には仙人になっていると思う」という声は生々しく、「太平洋のど真ん中で、なんにもない。いるのは鳥とクジラくらい」という「クジラ」の言葉にはヒヤリともしたが、その口調には「やりたいからやる。それだけです」と記者に再挑戦の理由を語った少年のような冒険心が伝わってくる。

 スポーツ報知大阪発行版では10年10月~13年3月に「辛坊治郎のこれでいいんかい?」、13年9月~15年12月に「辛坊持論」という週1回のコラムを執筆してもらっていた。13年3~9月の空白期間こそが前回の挑戦時。「―持論」が終了し、その打ち上げの席で「また挑戦します。もうヨットもあるんです」と明かされた時は、多忙で無理なのではと思ったのだが、辛坊さんが言う「この7年の償い」の末、実現にこぎつけた。その執念に改めて芯の強さを感じた。

 出港時、辛坊さんは「思い残したことは」と映像クルーに問われ「縁起でもないこというな! 思い残したことは帰ってきてからやります」と苦笑い。昨年暮れの記者の取材では、挑戦後の仕事復帰について「本音で何も考えていない」と話していたが、横断成功の際には胸のつっかえが取れて、さらにパワーアップしているはず。松井一郎大阪市長が2023年4月の任期満了で政界を去った後の有力後任候補として名も挙がるだろう。

 18年の本紙インタビューで、辛坊さんはこう語っていた。「13年6月21日(ヨット事故)に私は一回、死んでますから」。夢を無事に成し遂げれば、もう怖いものなし。帰国後、また話を聞きたいと思う。(記者コラム・筒井 政也)

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