【大学野球】国学院大・鳥山泰孝監督、“親鳥”の軌跡…戦国東都20季ぶりV

20季ぶりの優勝を飾り、喜び合う国学院大ナイン
20季ぶりの優勝を飾り、喜び合う国学院大ナイン
ベンチで戦況を見守る鳥山監督(右)(左は川岸コーチ)
ベンチで戦況を見守る鳥山監督(右)(左は川岸コーチ)

 史上初めて7校で開催された東都大学野球春季リーグ戦は、国学院大の20季ぶり2度目の優勝で幕を閉じた。全7週で6カードを消化する消耗戦を、チームの一体感を武器に勝ち抜いた鳥山泰孝監督(45)の戦いぶりを振り返った。

 鳥山監督は、優勝に関わる大切な試合になると、選手の心に訴えかける強いメッセージを発した。

 首位を走る中大を追い、4勝2敗同士で迎えた第5週の東洋大戦。初戦を制し2戦目に相対するのは、前週の中大戦で3安打14三振の完封劇を演じた最速152キロ左腕・細野晴希投手(2年=東亜学園)だった。

 「絶対に攻略するんだという強い気持ちを持て。気持ちで必ず上回ろう」

 極限まで集中力を高めた選手たちは、初回に7点を奪い、回の途中で降板に追い込んだ。

 勝てば優勝が決まる最終週の中大2回戦の前には、次のように呼びかけた。

 「必ず気迫で相手を上回って、何が何でも白星を奪い取ろう」

 試合は7回まで1―2。放った安打は2本という重苦しい展開のなか、8回裏に3点を挙げて逆転した。安打は1本だけだったが、ベンチの一体感に押されたかのように中大の投手はストライクが入らなくなり、四球に守りのミスも加わって自滅した。2勝2敗から8連勝でリーグ制覇。指揮官が求める「気」を身につけたチームに敵はいなかった。

 人間の内面を重んじる。入学したばかりの坂口翔颯投手(報徳学園)を抑えに起用する大胆な配置も、鳥山監督ならではだった。「試合の土壇場で腹を決め、地に足をつけて野球ができる強さを持っている。特別すごいボールがあるわけではないが、精神力を一番評価して任せています」。6試合に登板して、10回2/3で自責点4。昨年までリーグ戦での勝利がなく、不安を抱えていた投手陣を支える役割を担った。

 国学院大の野球とは何か。「人間味。人間関係があってこその野球でありたい」と話す。「新入生を預かる時、親御さんに『4年間、必ず親代わりをします』と約束します。勝てばOKなのではなく、それと同じくらい大事なものがあると思うからです」

 7校で行われた今春のリーグ戦は、日程消化の都合で3月に開幕した。規定により、1年生は4月以降でなければ出場できない。国学院大の場合、2週目の駒大戦から解禁されたが、鳥山監督は起用をもう1週、我慢した。坂口と同じ1年生で、3割4分4厘の打率を残してベストナインに選出された伊東光亮二塁手(大阪桐蔭)も3カード目からの起用だった。

 「学校のオリエンテーションと日程が重なったんです。出席しなくても何とかなるのですが、これによって4年間、勉強と両立しなければという認識を持たせることができる。野球だけというのは嫌だな、と考えました」。大学生として幅広く成長してほしいという願いがあった。

 手塩にかけて育てた4年生は、川村啓真右翼手(日本文理)が首位打者を獲得。指名打者の山本ダンテ武蔵(大阪桐蔭)は本塁打、打点王の2冠に輝き、「予想を上回る攻撃力を見せてくれた」と喜んだ。鳥山監督から深い愛情を受けた“長男”から“末っ子”までが、ファミリーとして一つになってつかんだ優勝だった。(浜木俊介)

 ◆鳥山 泰孝(とりやま・やすたか)1975年8月29日、栃木県生まれ。45歳。宇都宮学園(現・文星芸大付)、国学院大で外野手。98年に卒業後、同大学でコーチを務める。2007~10年に修徳高監督。10年8月に同大学の監督に就任し、直後の秋季リーグ戦で初優勝を果たす。

 ◆あと一歩V逸メモ

 ▽2013年秋(9勝5敗、勝ち点4で2位)亜大が6勝0敗、国学院大が6勝3敗という勝ち点3同士で直接対決。1勝2敗で勝ち点を落とし、亜大のVが決定。

 ▽14年春(7勝4敗、勝ち点3で2位)最終週の亜大との直接対決に先勝しVに王手も、そこから連敗。

 ▽15年秋(6勝6敗、勝ち点2で5位)未消化となり、最終週に残っていた亜大3回戦は勝った方がVだったが、2―5で敗れる。

 ▽16年春(9勝4敗、勝ち点4で2位)4カードを終え、8勝2敗、勝ち点4で首位。第7週の東洋大戦に先勝し、完全Vに王手もそこから連敗で自力Vが消滅。最終週に亜大が勝ち点を取り、V逸。

 ▽17年春(7勝5敗1分け、勝ち点3で3位)未消化だった亜大3回戦が最終週の東洋大―日大の1回戦の試合前に編入。勝って首位・東洋大にプレッシャーをかけたかったが敗れ、東洋大のV決定。

 ▽18年春(7勝4敗、勝ち点3で2位)最終週で東洋大が勝ち点を落とせば逆転優勝だったが、初戦を落とした東洋大が2戦目から連勝。棚ぼたVならず。

20季ぶりの優勝を飾り、喜び合う国学院大ナイン
ベンチで戦況を見守る鳥山監督(右)(左は川岸コーチ)
東都大学春季リーグ勝敗表(全日程終了)
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