涙を笑顔にかえた長女がパパに贈りたいものとは…ありがとう中村憲剛「14」の物語―2021年元日 川崎フロンターレを引退―

スポーツ報知
21年1月1日で現役を引退した中村憲剛(写真は20年8月29日の清水戦)

 J1川崎フロンターレのMF中村憲剛(40)が2021年1月1日の天皇杯決勝で18年の現役生活を終えた。憲剛と関わった人たちに、それぞれの憲剛を語ってもらう連載の第13回は長女の中村桂奈さん(11)。引退から5か月、多忙な父親との生活をはじめ、感謝の気持ちやこれからの夢を明かしてくれました。(取材・構成 羽田 智之)

■体壊さないか心配

 パパが引退して5か月になります。選手の時からの「育メン」はかわらないけど、「やべっちスタジアム」(DAZN、日曜・後11時配信)とか深夜のお仕事が多くなったから、夜おうちにいる時間がサッカー選手の時からは減りました。夕方、お仕事に出かけたら朝まで会えないこともたまにあります。なので「おやすみなさい」を言う機会も前ほどはなくなって。だから「おやすみなさい」と言って送り出しています。それって結構さみしいです。

 めちゃめちゃ忙しそうです。お兄ちゃん(長男の龍剛くん)も少し心配しています。たくさんお仕事があるのはいいことだけど、夜遅くなることもあるので、寝不足にならなければいいな。家族のために働いてくれているけど、中村家の大黒柱だから、風邪とか、体を壊さないか心配しちゃいます。

 オフは1週間に1日ぐらい。学校から私が帰ると、元気よく「おかえりー」って言ってくれる。だからパパがオフかどうかママに確認してから帰るようにしています。オフだとうれしい。大きな声の「おかえりー」が本当に楽しみ。今はコロナだから、お出かけしたりはできない。ただ、私はクラブチームでサッカーをやっているので見に来てくれる。一緒にパス交換するのはもちろん楽しいけど、もっと遊べたらいいな。

■3秒で泣いた手紙

 昨年10月、パパとママからお手紙をもらいました。読み始めて3秒で泣いちゃいました。1行目に「今シーズンで引退します」って書いてあったから、すぐウルってなりました。ずっと頑張っていたし、けがから復帰してゴールも決めた。テレビでもまだまだ出来ると言われていたし、私も引退はないと思っていた。頭の中がごちゃごちゃになって混乱しました。お手紙には「いつも応援ありがとう」「次のステージでは、リュウ、ケイナ、リイナのことをこれまで以上に精いっぱい応援するからね」とかたくさん書いてありました。

 パパもママも泣いていたし、涙が止まらなかったです。パパが頑張ってプレーしていた姿を思い出したりしてどんどん涙が出ました。昔を振り返って泣くと悲しい顔になる。パパに悲しい顔は見せたくない。泣かない方がいい。泣かないために、笑顔になるために先を考えよう。残りのシーズンを笑顔で応援しよう。そう考えました。お兄ちゃんもそうやって切り替えていた。私もそのほかに切り替える方法が思いつかなかったです。

 私もパパにお手紙を書きました。ママから返事を書いた方がいいと言われたんだけど、ママにチェックしてもらわずにパパに渡しちゃった(笑)。「私は(パパの決断を)絶対理解するから、ラストシーズンくじけないで頑張ってね」「ありがとう」とかいっぱい書きました。

■涙こらえた誕生日

 笑顔で応援しようと思っていましたが、そんな簡単じゃなかったです。引退するって聞いてから最初の試合はFC東京戦(10月31日@等々力陸上競技場、2〇1)でした。バースデーゴールは「やったー」って喜んだけど、パパが試合に出ている姿を見るのはあと少しなんだと思うと悲しくなりました。ただ、引退を発表する前だったから、泣くのを我慢しました。周りの人に「あの人、なぜ泣いているの?」と思われるのは良くないから。元日、国立競技場での最後の試合(天皇杯決勝)は絶対に出ると思っていたけど、出なかった。残念だったけど、出ても出なくてもパパはかっこよかった。満足しています。

■折り紙塗り絵上手

 パパのかっこいいところは、やっぱりスルーパスを出すところ。テレビに出たりしている今も好きだけど、サッカー選手の時の方が好きかな。ユニホームを着て頑張っている姿を見るとうれしくなりました。普段は私たちが悪いことをした時は怒るけど、それ以外は優しい。変顔してくれるパパも好き。ご飯食べている時とかもよくやってくれる。私、笑うのが好きだから、ふざけて変な顔してくれると楽しい。パパは折り紙が得意で、すごくきれいに作ってくれる。絵を描くのも上手。塗り絵も楽しいねと言ってつきあってくれる。一緒にいると楽しいこと満載です。

 私がサッカーを始めたのは1年生の時、お兄ちゃんがやっていたからです。最初は合宿が楽しくて、合宿だけ行きたかった(笑)。今はキーパーをやっています。キーパーの人が卒業して、やる人がいなくなって、私が手を上げた。練習していくうちに、キーパー、いいじゃないってなりました。今はキーパーが楽しい状態です。

 この前、パパに褒めてもらいました。リフティング44回出来たんです。それを伝えたら、「すごいじゃん」って言ってくれた。30回を目指してやったんだけど、30を超えて、40も超えて。すごくうれしかったです。

■家のなかでテント

 昔も、今も、これからも、パパには感謝しかない。中村家のために頑張ってくれている。ありがとう。どこかで海外のスーパーマーケットが好きって言っていた。将来、私がお金をためて、パパとママを海外旅行に連れていこうと思っています。あと、カフェをやりたいので、オープンしたら、私が作った料理を味見してもらう。今、スープとかをママに教えてもらって作っています。朝は目玉焼き、サンドイッチとか作って、食べてもらってる。いつも「おいしい」と言ってくれる。

 引退旅行を計画しているけど、コロナだからいけない。だから、おうちのなかでキャンプしたいと思っています。テント張って、みんなで泊まりたい。そのためにも、部屋を片付けないといけないです。

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