スギ薬局会長夫妻のワクチン優先予約していた…「創業の地」愛知・西尾市忖度しスギ

スポーツ報知
全国に1408店舗を展開するスギ薬局

 愛知県西尾市の近藤芳英副市長が、ドラッグストア大手「スギ薬局」を展開する「スギホールディングス(HD)」からの要望を受け、同市に住む杉浦広一会長(70)と妻・昭子相談役(67)の新型コロナウイルスワクチン接種の予約を優先的に確保していたことが11日、分かった。中村健市長は会見で「市民の信用を著しく損ねた」と頭を下げ、スギHDも公式サイトで経緯を説明し、謝罪した。

 申し込みが殺到し、ワクチン接種予約が進まない状況が全国で相次いでいる中、愛知県で公平性を欠く優先予約が行われていた。

 市によると、今年4月にスギHDの秘書から「高齢者の施設入所者枠で接種できないか」「会長夫妻は薬剤師なので、医療従事者の優先接種ができないか」と、健康課などに繰り返し打診があった。健康課は再三の依頼を断っていたが、最終的に近藤氏と健康福祉部長が相談し、配慮することを決定した。

 その後、直接健康課に連絡することで予約できるよう便宜が図られ、接種開始日の10日を仮押さえ。当日、夫妻は会場に向かっていたが、最終的には市側が説明して接種を取りやめてもらったという。市では、同日からの2200人分の接種を6日に予約開始したが、6時間で枠は全て埋まっていた。

 中村氏は会見で「現場は通常の働き掛けというより、より強い『圧力』、プレッシャーと認識していた」と述べた。1976年に「スギ薬局」1号店を同市にオープンさせたスギHDは、「創業の地」として1号店の跡地に生活習慣病予防のための運動施設を建設して市に無償貸与。高齢者らの健康や福祉に関する連携協定も結んでいた。近藤氏は「これまでさまざまな形で支援をもらっていて、何らかの形でお返しできないかと思った」と釈明した。

 通常の手続きを踏まない“特別待遇”には批判が相次いだ。市にはこの日、276件の電話があり、その多くが市の対応を問題視するものだったという。中村氏は「市民の信用を著しく損ねた」と謝罪。10日の予約は既に取り消した。また、近藤氏らの処分については未定という。

 一方、スギHDは公式サイトに経緯と謝罪文を掲載。昭子氏が過去に肺がんの手術を受けたことがあったことから「秘書が使命感ゆえに何度かお問い合わせを繰り返した」と説明。「全国の皆さまにとって不快な行為であったこと、日夜尽力されている全国の行政の方々の努力に水を差す結果となってしまったことに深くおわび申し上げます」とした。なお、広一氏は過去にアナフィラキシーショックを経験したことから接種を希望していないという。

 ◆スギホールディングス 愛知県西尾市で1976年、スギ薬局として創業。医療機関の処方箋に対応できる調剤併設型ドラッグストアを主力として関東、中部、関西地方に出店し、2008年に持ち株会社体制に移行して現社名になった。現在は同県大府市に本社機能がある。店舗数は1408(21年4月現在)。21年2月期の連結売上高は6025億円、純利益は211億円。

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