【日本ハム】ドラ1右腕・伊藤大海の父から学んだ親父の背中

スタンドから観戦する日本ハム・伊藤大海の両親・清光さん(左)と正美さん
スタンドから観戦する日本ハム・伊藤大海の両親・清光さん(左)と正美さん
力投する日本ハムの伊藤大海 
力投する日本ハムの伊藤大海 

 「父」になる、とはどういうことだろう。最近よく考える。

 30歳を目前に控えて、プライベートでうれしいニュースが多い。昔からの悪友たちに、子どもが誕生。夜遅くまで飲み歩き、朝帰りを繰り返していた男たちが、子どもの投稿で僕のSNSをにぎわせてくる。どんな心境の変化なんだろうと笑ってしまう。

 仕事柄、選手の両親を取材する機会がある。子ども時代のエピソードを聞くのはもちろん、家族のこれまでの歩みを疑似体験できる様な気がして、好きな取材の一つだ。中でも、日本ハムのドラフト1位右腕・伊藤大海投手(23)の父・清光さんは印象深かった。

 主観だがアスリートの父は、熱血漢な方が多いように思う。だが清光さんは物腰柔らか。「記者さん泣かせですけど、僕に聞いてもあんまりいい話ないですよ。ヒロミからしたら無口な父親だと思います」と控えめだった。

 漁師の清光さんの朝は早い。早朝4時に海に出て、昼過ぎの14時には出荷を終えて帰ってくる。伊藤の幼少期は、一休みして誰よりも早くグラウンドに向かい、長男の入った少年野球チームの練習に参加していた。道具出しから、球拾いのサポートまで。「自分は野球をやっていなかったので。子どもたちが走っている後ろを一緒に走ったり、一緒にやって野球も少しうまくなりました」。多くを口出しすることはなかったという。

 以降も基本的には、一歩引いて、息子の人生を見守ってきた。困難にぶつかった時も、心配する母・正美さんを「ほっとけ」と諭す。父が時折口に出した思いは、母がこっそりと長男に伝えていたそうだ。気恥ずかしさもあっただろう。プロ入りが決まり知人と家族で食事に行った際、父が知人と熱いスポーツ談議を繰り広げる姿に「お父さんってあんなにしゃべる人だったんだ」と、母に驚きを語ったという話も聞いた。

 伊藤はそんな無口な父をどう思っていたのか。昨年聞いた際、「やっぱり『かっこいい』というのはずっと思っていた。多くは語らず、自分の行動で示していく部分は、すごく見本になる。ああいう風になりたいなって思います」と話してくれた。

 4月28日、伊藤がプロ初勝利を挙げた際、清光さんの手記を掲載させていただいた。お願いした僕も、熱い思いになった。無口な父が、これまで直接は息子に伝えることのなかった愛情の大きさを感じたからだ。

 家族には、色んな形がある。正解はない。でも、言葉はなくとも背中で伝わる思いもあると知った。いつか、僕にも子どもが生まれたら。伊藤さんみたいな「父」になりたいと強く思った。(北海道支局日本ハム担当・秦 雄太郎)

スタンドから観戦する日本ハム・伊藤大海の両親・清光さん(左)と正美さん
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