【NHKマイルC】東大医学部卒の林師、2頭出しでG1初V狙う

自身初のG1・2頭出しで勝利を目指す林調教師
自身初のG1・2頭出しで勝利を目指す林調教師

◆第26回NHKマイルC・G1(5月9日・芝1600メートル、東京競馬場)

 3歳マイル王を決める第26回NHKマイルC(9日、東京)に、開業4年目の林徹調教師(42)=美浦=がアナザーリリックとソングラインの牝馬2頭を送り出す。開成高、東大と国内最高峰の高学歴を歩みながら、馬への情熱でホースマンの世界に飛び込んだ新進気鋭のトレーナー。自身6度目のG1挑戦で、待望の初ビッグタイトルへ意欲を燃やしている。

 ひたむきな馬への情熱で大舞台への道筋を作り上げてきた。開成高、東大とエリートコースを歩んできた林調教師は“凡事徹底”を大切にして仕事に打ち込んでいる。「手をかければ馬は必ず助けてくれる、と思っています。例えば調教とか飼養管理は、やり過ぎてもやらなすぎてもダメで、まだまだ勉強中ですが、馬のケアはやり過ぎるということはありません」。脚元のアイシングは午前、午後と必ず全馬に施すなど、丁寧な仕事が厩舎のモットーとなっている。

 ソングラインは桜花賞で15着後、福島・ノーザンファーム天栄での放牧を挟んで立て直してきた。「しっかりリフレッシュして、いい状態で競馬に臨めそうです。今は本当に筋肉がついて、心だけじゃなく体もどっしりしてきたなと感じます」と成長ぶりを喜ぶ。前走は道中の不利にも泣かされただけに、スムーズなら変わり身は十分だ。

 もう1頭のアナザーリリックは桜花賞トライアルのアネモネSを勝った後、状態を考慮して本番への出走を見送った。「アネモネSの後、背腰に疲れが出やすかったりして間隔を空けた方がいいというので、(放牧先の)天栄さんの方でじっくり立て直していただきました」と、こちらも好感触。2頭ともに思い描いた調整過程を踏めているのは好材料だ。

 もともと競馬に興味を持ったきっかけは、ウイニングチケットが勝った93年の日本ダービーから。そして高校2年の時にJRA賞馬事文化賞受賞作の「銀の夢―オグリキャップに賭けた人々」(渡瀬夏彦著)に出会い、明確にホースマンの道を志した。「その本を読んでいなかったら、競馬ファンにはなっていても、競馬の世界には入っていなかったと思います」と、感慨深げに振り返る。

 同じ開成高卒でG1・13勝を挙げている矢作芳人調教師を師と仰ぎ、技術調教師の研修などを通じて多くのことを学んだ。「基本的に調教メニューは、矢作先生の1週間の流れを踏襲させてもらっています。鍛錬と安全の両立と言いますか、いかに馬を壊さずに鍛えるかというところにすごく感銘を受けました」と貪欲に吸収してきた。

 自身初の2頭出しで挑むG1。「オーナー様が素質のある馬を預けてくださったおかげです。少しでもいい結果を出して、ご恩に報いたいです」と常に感謝を忘れない。地道な積み重ねの先にある栄光は、着実に近づいてきている。(坂本 達洋)

 ◆林 徹(はやし・とおる)1979年4月4日、兵庫県生まれ。42歳。開成高、東大医学部を卒業し、牧場勤務を経て、06年4月にJRA競馬学校厩務員課程に入学。美浦・本間厩舎での厩務員を経て、加藤和、田子、矢野英の各厩舎で調教助手。16年12月に4度目の調教師試験で合格。18年3月に開業してJRA通算714戦49勝。重賞勝利はクレッシェンドラヴでの19年福島記念と20年七夕賞。

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