【NHKマイルC 今週のキーマン】幸騎手「楽しみ」ルークズネストで3年ぶりのG1制覇狙う

幸はルークズネストとNHKマイルC制覇を目指す
幸はルークズネストとNHKマイルC制覇を目指す

◆第26回NHKマイルC・G1(5月9日・芝1600メートル、東京競馬場)

 NHKマイルC(5月9日、東京)でルークズネストに騎乗する幸英明騎手(45)=栗東・フリー=をヤマタケ(山本武志)記者が直撃。自身3年ぶりのG1制覇を狙う愛馬への思いと、大けがを乗り越えて多くの騎乗数を重ねるデビュー28年目の今を聞いた。

 ―ルークズネストは前走のファルコンSで重賞初Vを飾りました。

 「極端な内枠(1番枠)に入ってしまったので、ああいう前に行く形も頭に入れていました。人気馬(グレナディアガーズ)が来るだろうとは思っていましたが、どこまで辛抱できるかな、と。(抜かせなかったのは)力のある証拠。今なら逃げなくてもいいし、どんな競馬もできるかなと思います」

 ―G1で人気に推されての出走になります。ここまでの馬と思っていましたか?

 「デビュー時はそこまで思っていませんでした。調教で馬はすごくいいんですけど、少しトモ(後肢)に弱さがあるという印象でした。あと、折り合いに不安があったんですけど、厩舎の方がうまく調教してくれて、乗りやすくなりました。(今年1月の)シンザン記念の追い切りは抑え切れないぐらいだったんですけど、前走は乗りやすくなっていた。びっくりしました」

 ―デビューからずっと手綱を執っています。

 「追い切りに乗せてもらいながら、馬の成長を感じながら、ずっと競馬に乗せていただいているというのはありがたいですし、思い入れが強くなってきますよね」

 ―今年1月で45歳。デビュー28年目にもなる。

 「最近、よくベテランと書かれるので、そういう記事に『ベテランなんやな』と感じるぐらいです(笑い)。気持ちや体力はまだ若いつもりでいるんですけどね。トレーニングは個人でトレーナーをつけてやっています。けがした後に身体を元に戻すリハビリの中でトレーナーをつけて、ずっと見てもらっています」

 ―そのけがは18年の11月には大きな落馬事故で右肘開放粉砕骨折などの重傷でした。

 「あのけがで周りの方のありがたみをより感じるようになりました。自分では若いとは思っていても、年齢が年齢なので、入院中に他の人がどんどん自分の馬に乗っているのを見てましたし、帰ってきても前走で乗っていた騎手が継続で乗るのが普通なのかな、と思っていました。それが治ってすぐに騎乗依頼を結構いただいた。調教師さん、馬主さんへの感謝を改めて感じました」

 ―幸騎手は騎乗数の多さにも定評がある。(【注】参照)

 「乗り鞍にこだわっているということはないけど、やはり感謝の気持ちが強いですね。依頼していただかないと、勝つチャンスはないので。乗り鞍が少ないとそれだけの体力になるというか。ケガから復帰した当初は乗り鞍が少なかったんですが、ちょっと増えると疲れが残るなという感覚はありましたね」

 ―最後に意気込みを。

 「重賞も勝ってますし、今は1ハロン延びても大丈夫なぐらい折り合いに不安もありません。自分でも楽しみにしていますし、いい結果を出したいと思っています」

 【注】2019年12月8日に武豊、蛯名正義、柴田善臣に続く、史上4人目のJRA2万回騎乗を達成。初騎乗から25年9か月4日、43歳10か月27日での達成は、武豊(29年6か月4日、47歳5か月21日)を塗り替えるJRA史上最速、最年少記録だった。

 《取材後記》1、2年前のこと。追い切りがほとんどない火曜日に、栗東トレセンで厩舎周りの運動する馬上にいる幸騎手を見かけた。ベテランのフリーのジョッキーが追い切りのない日にいないことがほとんどだが、取材してみると、スタッフのけがで人手が足りなくなっていた大橋勇樹厩舎で、臨時の手伝いを数週間していたという。

 「幸だからこそ頼めたんだ。彼は何より謙虚な人間だよね」と大橋調教師はと当時を振り返る。以前、西浦勝一調教師(今年2月定年引退)に幸騎手の技術面での長所を言葉で引き出そうとした時には、「何より誰からも愛される人間性。これも騎手としても大事なことだよ」とたしなめられるような笑顔で返されたことがある。

 記者は昨秋、デアリングタクトの秋華賞を前に、03年の3冠牝馬スティルインラブについて取材。17年も前の話を細かく、丁寧に話してもらった。しかし、その後に他紙の記者がすでに同じ内容の取材を行っていたことが発覚。何も言わず、嫌な顔もせずに応対してもらい、本当に助かった。

 今回のインタビューで何度も聞かれたのが「感謝」「ありがたい」という言葉。その人柄は誰からも愛され、厚い信頼を置かれている。(ヤマタケ)

 <2月で定年引退した西浦調教師に感謝>

 ○…幸騎手が「大きな存在でした」と振り返るのが2月末で定年引退した西浦調教師。開業当初の97年3月にパウダースノーという馬を初勝利に導いてからの縁で、ホッコータルマエではダートG1で10勝(交流含む)とダート界で一時代を築いた。「先生が『ホッコータルマエで幸にG1を勝たせるんや』と言ってくれているのを聞いて、すごくうれしかった。勝ちたいという気持ちも強くなって、勝てた時は本当にうれしかったですね」と懐かしそうに振り返っていた。

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