◆パ・リーグ 楽天3―0ロッテ(1日・楽天生命パーク)
米大リーグ・ヤンキースから楽天に復帰した田中将がロッテ打線を相手に6回5安打無失点で今季2勝目を挙げた。今季3登板目で、復帰後最多106球の力投。NPB通算100勝目を挙げた前回4月24日・西武戦(楽天生命)から2連勝となった。チームは引き分けを挟んで今季最長の4連勝。2カードぶりの勝ち越しで、首位もキープした。
自然と力がこもった。味方が2点を追加した直後となった3―0の5回2死二、三塁。田中将は1球ごとに「うっ!」とほえながら腕を振り、中村奨をフルカウントからこの日最速の149キロ外角直球で遊ゴロに封じた。「今日の登板の中で一番力が入った場面」。最大の難所を切り抜け、日本復帰後2勝目を飾った。
前回登板の4月24日・西武戦(楽天生命)では約34%だった速球の割合は、約41%に増加した。直球の手応えは前回の中盤以降に得たことに加え「この登板間で、ある程度自分の中で手応えは感じてきていた」と振り返る。球数こそ2回まで49球を要するなど今季最多の106球で、3者凡退も4回のみだったが「己に負けなかった」と6回5安打無失点。力勝負も見せながら、要所を切り抜けた。
この日の午前中には、宮城県沖を震源地とした最大震度5強の地震が発生。自身は球場への出発前で「揺れましたね…。緊急地震速報のアラートが鳴って」と振り返る。観客の入場は予定通り正午に始まり、7914人が集まった試合も定刻に開始。ファンの胸に不安が残る中でも、精いっぱいの投球で役割を全うした。
大型連休で、多くの少年少女も訪れた一戦。「小学1年の頃から野球をやっているので、ゴールデンウィーク=野球しかなかった。野球しかしてこなかった」。少年時代には約15メートル先のネットの真ん中にロープを通し、そこに3球連続当てるまでやめない練習なども行っていた右腕には、野球の思い出が色濃く残る。この日の雄姿は、子どもたちの心にも強く刻まれたはずだ。
石井監督は「序盤を切り抜けてから自分のペースで試合を進めていくことができた」と称賛し、「完全体というところでは伸びしろが含まれていると思う」と期待も込めた。チームは2分けを挟み今季最長の4連勝で、首位をキープ。「各登板内容が違って、いろんなものを経験できて、自分にとってはすごく大きな3登板だったと思う」と田中将。チームとともに、新たな自身の連勝街道も歩を進める。(田中 哲)