金井大旺110メートル障害日本新! リオ五輪なら銀 東京五輪メダル視界 目指す歯科医

スポーツ報知

◆陸上 ▽織田記念国際(29日、エディオンスタジアム広島)

 五輪メダルが見える快記録が誕生した。男子110メートル障害決勝で、金井大旺(25)=ミズノ=が13秒16(追い風1・7メートル)の日本新記録を樹立。今夏の東京五輪参加標準(13秒32)を突破し、代表入りへ前進した。16年リオ五輪では銀、19年ドーハ世界陸上では銅メダル相当のタイム。歯科医の道に進むため、競技の集大成と位置づける東京五輪へ最高の弾みをつけた。金井が師事するスポーツ報知評論家の苅部俊二氏(51)=法大監督=が五輪本番への期待感を語った。

  金井の両脚は、最後まで鋭く回った。上半身を突き出して日本新のゴールに飛び込み、右拳を握ってほえた。「想定した記録をはるかに上回って、とてもビックリしている」。自己記録を0秒11縮め、高山峻野(26)=ゼンリン=が持っていた日本記録も0秒09短縮。コロナ対策で声援を控えながら見守った4500人の観客からは、どよめき交じりの大拍手が注がれた。

 天が味方した。午前中から降り続いた冷たい雨が決勝直前にやみ、雲間から暖かな日差し。公認上限2・0メートルに迫る1・7メートルの追い風も受け「うまく乗って走れた」と突き抜けた。金井は18年にも13秒36の日本記録を出したが、今回はただの日本新ではない。13秒16は今季世界ランク3位。条件が異なるとはいえ、16年リオ五輪なら銀、19年ドーハ世陸は銅メダル相当で、世界に通じる可能性を示したのは間違いない。「決勝進出が目標なので、そのラインを突破する記録で良かった」と息をついた。

 伸び盛りの1年は、最後の1年になる。家業の歯科医院を継ぐため、東京五輪を集大成に競技から引退して医師免許の取得を目指す。コロナ禍で予期せぬ1年延期。7人制ラグビー男子の福岡堅樹(28)=パナソニック=は、医師の道を優先し、五輪を断念した。金井は「同じ境遇の人がいたことに親近感が湧いた。僕は五輪に出たことがなくて、出たい気持ちが強く、続ける選択をした」と明かしていた。

 終わりがあるから、追い込めた。「一日一日の重さを感じ、充実した練習ができた。同じ冬季練習をもう一度繰り返せるかといえば、イエスではない」。週4回のウェートトレーニングとスプリント強化を両立。筋力を高め、体重は1キロ増。鋭いハードルさばきに磨きをかけた。「一歩一歩の出力が上がった。区切りがあるからこそ、記録につながった」と実感を込めた。

 まずは、6月の日本選手権(大阪)での五輪内定へ「気を引き締めてやっていきたい」。真価を発揮する場は、真夏の国立競技場だ。金井は「悔いがないように出し切り、五輪に向かいたい」。日の丸を胸に今回の走りを再現できれば、日本ハードル界の歴史は動く。(細野 友司)

 ◆金井 大旺(かない・たいおう)1995年9月28日、北海道・函館市生まれ。25歳。本通中、函館ラサール高を経て法大進学。卒業後は福井県スポーツ協会所属で活動し、18年日本選手権を13秒36の日本新(当時)で優勝。19年2月から現所属。同年ドーハ世陸は13秒74で予選敗退。20年8月のナイトゲームズ・イン福井で当時日本歴代2位の13秒27をマークした。

 ◆男子110メートル障害の東京五輪への道 国別の出場枠は最大3。主要選考会は日本選手権(6月、大阪)で、対象期間内に13秒32の参加標準記録を突破した上で3位以内に入れば、代表内定。日本勢では金井と高山の2人が突破済み。今大会で13秒33を出して標準記録に肉薄した泉谷駿介(順大)らも有力。

 ◆男子110メートル障害の決勝進出ライン 16年リオ五輪では、決勝進出最低ラインは13秒41。金メダルは13秒05を出したマクレオド(ジャマイカ)で、銀メダルのオルテガ(スペイン)は13秒17。銅メダルのバスク(フランス)は13秒24だった。直近のドーハ世陸は、決勝進出最低ラインは13秒36。決勝は13秒10で走ったホロウェイ(米国)が優勝。銀メダルはシュベンコフ(ロシア)が13秒15で続いた。日本勢が決勝進出を果たせば、五輪、世陸を通じ史上初の快挙となる。

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請