◆JERAセ・リーグ 阪神1―7DeNA(23日・甲子園)
ようやく運も味方した。2点リードの5回。神里が右翼へはじき返した打球は、佐藤輝が後逸してフェンスへ転々とした。走者は次々と生還し、神里もダイヤモンドを一周。記録は単打と失策だったが“ランニング満塁弾”に「結果的にホームに戻ってこられてよかった」。10連敗を止め、13試合ぶりの白星も転がり込んできた。
名前の通り“神ってる”存在だ。この試合では3打席連続で満塁で打席が回ってきた。2回の1打席目は二ゴロで先制点を叩き出し、3回の2打席目は押し出し四球を選び3打点。3回の守備では右中間への打球を好捕し、飛び出した一塁走者も刺して併殺を完成させた。6日の中日戦(バンテリンD)ではプロ初の満塁弾。今季先発は25試合中10度だが、4勝した全ての試合で先発した。それでも慢心は一切なく「もっと結果を出さないといけない」と気を引き締め直した。
一方で、信頼し続けた主将も応えた。1点リードの3回に、佐野が適時二塁打。チーム31イニングぶりの適時打は佐野にとっても10試合、37打席ぶりの打点となった。「自分の打席で何とかしたい気持ちでした。チームに貢献できて良かった」。チーム内3冠の牧が初めて先発落ちするなど、打順を試行錯誤する中で、佐野は唯一4番で固定されてきた。三浦監督が「4番ですからそう簡単には動かさない」と絶大な信頼を寄せる男が、勢いづけた。
17日の巨人戦(横浜)後に、主将・佐野が「ずるずる行かないように」と、ナインを集めてミーティングを開いた。その後も2戦に1試合ほどのペースで話し合いの場を設け、それぞれの選手がやるべきことを宣言した。三浦監督も「うれしいです。よかったです。久しぶりの喜びです」とホッとしたように笑顔を見せた。監督、主将を先頭に、逆襲への準備は怠っていない。同じく4月に10連敗した19年は2位にまで挽回した。まだシーズンは始まったばかりだ。(安藤 宏太)
◆神里の4勝への貢献 ▽4月4日 3〇1広島(横浜) 開幕から8戦勝ちなしだったが、初先発すると3回に先制ソロ。4回にはダイビングキャッチ
▽6日 7〇3中日(バンテリンD) 1点リードの6回に、沢村賞左腕の大野雄から人生初の満塁本塁打
▽8日 5〇2中日(バンテリンD) 4打数無安打も、9回1死一、二塁で進塁打となる一ゴロでダメ押し点につなげる
▽23日 7〇1阪神(甲子園) 3度、満塁機で打席に立ち3打点。相手の失策も重なり実質6点を叩き出した