平岩優奈 3位で7年ぶり表彰台 「美しい体操」で初の五輪出場つかむ

スポーツ報知
女子個人総合で3位となった平岩優奈(代表撮影)

◆体操 東京五輪代表選考会兼全日本選手権第3日(17日、群馬・高崎アリーナ)

 女子の個人総合決勝が行われ、14年世界選手権代表の平岩優奈(22)=戸田スポーツク=が、予選との合計108・631で7年ぶり表彰台となる3位。“復活劇”で、初の五輪出場に一歩近づいた。予選首位通過の村上茉愛(24)=日体ク=が、合計112・564点で2年連続5度目の優勝。左アキレス腱(けん)断裂を乗り越え、3大会連続の五輪出場を目指す寺本明日香(25)=ミキハウス=は、6位と出遅れた。

 五輪まで100日を切り、22歳の平岩が第一線に戻ってきた。7年ぶりの表彰台。優勝した村上、2位・畠田瞳が淡々とインタビューに応じる横で、キュートな笑顔でマイペースに答えた。「緊張しないでやるべきことをやれた。楽しんでできて良かった」。18年大会は55位。不屈の精神で復活し、五輪代表に急浮上した。

 爪先、指先までまっすぐ伸び、滑らかな美しい演技が最大の魅力。10年世界選手権でエレガンス賞を受賞した12年ロンドン五輪代表・田中理恵さんもかつて「一番きれいな体操」と絶賛していた。得意の平均台や床運動で上位の得点を稼ぎ、決勝でのEスコア(出来栄え点)は、4種目合計33・599点で村上を上回る全体2位。また、全種目でトップ10に入る安定感も抜群で、観客を魅了した。

 15歳で世界選手権に初選出。最年少で注目も浴びたが、現地で右手を骨折し、出場できず。「体操は好きだけど、練習が怖い。期待に応えられない悔しさが強く、切り替えができなかった」と沈み、代表入りどころか、全日本は16年大会棄権、17、18年は予選落ち。表舞台から離れていった。

 2年ほど前に「やりたい体操をしたい」と拠点を武庫川女子大から、戸田スポーツクラブに移した。96年アトランタ五輪代表の豊島(旧姓・菅原)リサコーチに師事し、「好きな体操をできることがうれしかった。五輪に出たいと思った」と原点に立ち返った。豊島コーチも「美しさ、しなやかさが良さ。体操が好きだから頑張る子」と評価する。

 ふと「ピンクっていいな」と思い、髪を鮮やかな桜色に染めて挑んだ全日本。大きなミスなく終え、代表選出圏内の3位につけた。5月15日開幕のNHK杯(長野)で全てが決まる。「武器であるきれいな体操をしっかりして、Eスコアを高く、Dスコア(難度点)も上げられるように頑張りたい」。自らの手で五輪切符をつかみ、華麗に完全復活を遂げる。(小林 玲花)

 ◆平岩 優奈(ひらいわ・ゆうな)1998年11月21日、東京都生まれ。22歳。6歳から体操を始める。2010年全日本ジュニアAクラスで個人総合2位。14年全日本選手権で当時15歳ながら3位に入り、全日本種目別選手権の平均台では優勝。同年の世界選手権代表に選出された。得意種目は平均台。憧れの選手は12年ロンドン五輪個人総合銀メダルのビクトリア・コモワ(ロシア)。

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