丸尾知司 競歩五輪代表最終枠滑り込み 最強トリオ表彰台独占も現実味

優勝した丸尾はゴール直後、感極まって涙を流した(カメラ・太田 涼)
優勝した丸尾はゴール直後、感極まって涙を流した(カメラ・太田 涼)

◆競歩 全日本輪島大会(11日、石川・輪島市日本陸連公認コース)

 東京五輪男子50キロ競歩代表の残り1枠を争う最終選考会は17年ロンドン世陸4位の丸尾知司(29)=愛知製鋼=が3時間38分42秒の大会新記録で制し、初の五輪切符を獲得した。一時は19年ドーハ世陸代表の野田明宏(25)=自衛隊=に引き離されたが、同僚で東京五輪20キロ代表の山西利和(25)との合宿で培った美しい歩型で粘り、終盤に逆転。競歩大国の一員としてメダル獲得を目標に掲げた。

  ガッツポーズも雄たけびも、丸尾にはなかった。3時間を超える激闘の末、つかんだ最後の五輪切符。「たくさんの応援を思い出して『まだ終われない』と思った。何とか勝ち取ることができた」。あったのは感謝の思い。50キロをともに戦い抜いたサングラスを外すと、静かに涙を流しながらコースへと頭を下げた。

 リスクを承知の上で、賭けとも言えるハイペースに挑んだ。25キロを過ぎてからは野田との一騎打ちとなり、30キロ通過は日本新。ただ、37キロ付近で引き離されると「ここで負けてしまうのかな」。遠のく背中を見ながら、弱気の虫が顔を出した。ここから始まった苦しい時間。乗り切れたのは理由は盟友との切磋琢磨(せっさたくま)だった。

 今大会前、同僚の山西と宮崎合宿を敢行した。40キロ以降の勝負にフォーカスし、19年ドーハ世陸20キロ金メダルという世界一のお手本からフォームのリズムや動きを吸収。この日も「山西との練習を何度も思い出した」と大きな腕振りで失速を最小限にとどめると、42キロ手前で野田をとらえ、突き放し、勝負を決めた。

 日本記録保持者の川野将虎(旭化成)と同3位の鈴木雄介(富士通)に加え、同2位の丸尾が代表入りし、日本歴代1~3位という史上最強チームで五輪の表彰台独占も現実味を帯びる。故障をきっかけに競歩を始めた29歳は「メダルがターゲット」と意気込んだ。

 19年全日本高畠大会では従来の日本記録を上回りながらも、川野に敗れて内定を逃した。あれから532日。「考えない日はなかった。『負ける』『勝てない』と思う日もたくさんあった。それでも、いろんな人のおかげで、ここにたどり着けた。さらに大きな恩返しをしたい」。感謝の歩みは、これからも続く。(太田 涼)

 ◆丸尾 知司(まるお・さとし)1991年11月28日、京都市生まれ。29歳。洛西中から洛南高へ進み、けがをきっかけに長距離から競歩に転向。びわこ成蹊スポーツ大を卒業後、和歌山県教育庁の公務員として競技を続けたが、2016年4月に愛知製鋼へ入社。50キロ競歩を主戦場に、17年ロンドン世陸4位、18年世界競歩チーム選手権3位。19年全日本50キロ競歩高畠大会では従来の日本記録を上回る3時間37分39秒をマークしたが、川野将虎に敗れて代表内定を逃した。

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