【箱根への道】東洋大ルーキー・石田洸介、「夢の舞台」箱根から「最大目標」パリ五輪へ

東洋大への進学が決まった群馬・東農大二高出身・石田洸介(右)
東洋大への進学が決まった群馬・東農大二高出身・石田洸介(右)
オンライン取材に応じた(左から)酒井監督と石田洸介
オンライン取材に応じた(左から)酒井監督と石田洸介

 学生長距離界に新たな風が吹く。2021年度のルーキー特集第1弾は、5000メートルで昨年2度の高校記録を更新した石田洸介(東洋大1年)。福岡・浅川中時代には長距離3種目で中学記録を樹立し、群馬・東農大二高でも16年ぶりに大記録を破った。鉄紺軍団で見据えるのは4年時の2024年に行われるパリ五輪。今季のチームスローガン「鉄紺の証明」を体現しつつ、速さを強さに変える今後の4年間への思いに迫った。(取材・構成=太田 涼)

 史上最速ルーキーが箱根路を熱くする。5000メートル13分34秒74。昨年度の日本人学生ランキング3位に食い込む速さは、ロードでも即戦力級だ。すでに学生長距離界の主役候補に名乗りを上げている18歳は、世界も見据えて東洋大の門を叩いた。

 「酒井(俊幸)監督の『世界で戦える選手を育成したい』という言葉に、『あっ、ここかな』と、ビビっと来た。4年生で迎える24年パリ五輪が最大の目標。箱根だけではなく、大学生のうちから世界に挑戦したい。ここが、目指したいものをかなえられる理想の場所だと思っています」

 東京五輪代表には、マラソン・服部勇馬(27)=トヨタ自動車=と1万メートル・相沢晃(23)=旭化成=の東洋大OB2人が内定。競歩でも川野将虎(22)が50キロ、池田向希(22)=ともに旭化成=が20キロで五輪切符を得た。

 実業団や海外留学という選択をせずに、東洋大長距離ブロック初の現役学生オリンピアンを目指すルーキーだが、実は順風満帆な競技人生ではなかった。

 「高校1年の時は記録も伸びず『やめたい』という思いも強かった。中学記録保持者という肩書が自分を苦しめていた。一方で、良い意味ではプライドにもなった。だからこそ、諦めちゃいけないと思い続けられたし、快く(高校に)送り出してくれた両親に迷惑をかけたくはなかった」

 一度は「早熟」といわれたが、昨年7月、9月に5000メートルの高校記録を更新。しかも、厚底シューズでの記録をスパイクで上回るなど、潜在能力は疑いようがない。特に昨夏、一緒に合宿したマラソン前日本記録保持者・大迫傑(29)=ナイキ=とともに走った2度目の高校新のレース(東海大長距離競技会)は大きな転機になった。

 「夢のように思っていた選手と勝負できたことで、レベルアップしたと感じています。ただ、高校記録を持っていますが、心機一転というか、違う自分を作っていきたいですね。大学は大学。自分がやるべきことを1つずつ積み重ねる。持っている記録よりも、今が大事と思っています」

 トラックで世界を目指しながら、学生3大駅伝にも参戦する。スピードを磨きつつ、ロードで培うのはスタミナと強さ。特に箱根駅伝への思いは膨らむばかりだ。

 「自分にとってはまだまだ夢の舞台。五輪を目指す上でも通過しないといけない。箱根で走る姿を想像すると、ワクワクしますね。そうやって練習も頑張っています」

 2区では相沢が20年大会で驚異的な区間新をマーク。速さはもちろん、1秒を削り出す勝負強さが鉄紺軍団の持ち味。ゴールデンルーキーが箱根路で目指す走りはどこにあるのか。

 「憧れている区間は往路。ただ、山上りはまだまだなので。1~4区のどこかで走りたい。将来的には、これまでの東洋大の先輩方と肩を並べられるような走りをしたい。箱根だけとは思っていないが、走るとしたら区間新を作って終わりたいと思います」

 最速ルーキーを迎え撃つ各大学のエースたちも黙ってはいない。特に、石田の1学年上に当たる新2年生には、ハーフマラソンU20日本記録保持者の三浦龍司(順大)や同5000メートル保持者の吉居大和(中大)ら猛者がズラリ。王者・駒大には絶対エースの田沢廉(3年)、伝統のエンジ軍団にも中谷雄飛&太田直希(ともに早大4年)の1万メートル27分台コンビなど強力な“先輩”たちが名を連ねるが、負けるつもりはない。

 「特に1つ上の選手たちは、『黄金世代』といわれていて、そこを追いかけてここまで来ました。今は吉居さんや三浦さんを始め、強い選手がたくさんいる。誰かに勝ちたい、というよりも、みんなに勝ちたい」

 4年時には24年パリ五輪が控える。その直前には、3年生で迎える第100回箱根駅伝という大きな節目もある。東洋大が最後に優勝した90回大会(14年)では設楽悠太(ホンダ)や服部兄弟らが活躍し、後に日の丸を背負った。

 「運がいいというか、90回大会で優勝しているチーム。100回大会でも優勝して、監督を胴上げしたいと思います。今年のチームスローガンが『鉄紺の証明』ということで、1年目から強さを示していきたいと思います」

 ◆酒井監督「最大限応援」

 石田を指導する酒井監督は「自ら計画を立てて、記録を達成できる選手。大きな目標を持って取り組んでくれると思うので、その実現へ最大限の応援や指導をしたい」と期待を寄せている。高校記録をマークした一方、全国高校総体や都大路での優勝経験はない。「2度も高校新で走れたというのは強さだと思います。安定感や崩れない走りというものも追求したい」。“東洋イズム”を継承させつつ、世界を目指すつもりだ。デビュー戦は5月中を予定。

 ◆石田 洸介(いしだ・こうすけ)2002年8月12日、福岡・遠賀町生まれ。18歳。浅木小5年から本格的に陸上を始め、浅川中3年時に1500メートル3分49秒72、3000メートル8分17秒84、5000メートル14分32秒44と長距離3種目で中学新記録を樹立。群馬・東農大二高へ進み、3年時の昨年7月に5000メートルで16年ぶりの高校新記録となる13分36秒89をマーク。同年9月には13分34秒74とさらに塗り替えた。21年4月、東洋大総合情報学部に入学。

東洋大への進学が決まった群馬・東農大二高出身・石田洸介(右)
オンライン取材に応じた(左から)酒井監督と石田洸介
すべての写真を見る 2枚

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請