◆パ・リーグ ソフトバンク2―4西武(4日・福岡ペイペイドーム)
現在115キロ(公称112キロ)の日本人選手最重量ルーキーがベールを脱いだ。ドラ1・渡部が大きな体を操り、コンパクトに振り抜いた打球は左翼席へ着弾。初昇格即スタメンのデビュー戦で1号2ランを放ち、華々しくプロとしての第一歩を刻んだ。
2―1の6回2死一塁、116キロのカーブを見逃さなかった。先輩・中村と同じ形の900グラムのバットを手に名刺代わりの一発。「しっかり振っていこうと思った」。憧れの山川と同じ初安打を初本塁打で飾り、日焼けした笑顔で「どすこーい」と両手を押し上げた。
初めての寮生活。恵まれた体格の“よくばりくん”は、入寮時には担当スカウトから「風呂場のイスが折れてケツに刺さるんじゃないか。フィットするのを買え」と珍助言も受けた。多くのプロ選手を見てきたスカウトが心配するほどの巨体を支えるため、秘密兵器を導入した。
当初は備え付けのマットレスが合わず、疲労が蓄積。寝具メーカー・西川で最も硬いタイプのものを自費購入した。体重がある分、軟らかいマットレスは体が沈み込んで寝付きにくい。大学までを過ごした実家でも、畳に敷き布団を使っていた。現在は「マットレスが硬い方が支えられる。ぐっすり寝られるし、目覚めがいい」と体の変化を実感。相棒と共に疲れ知らずの体で、プロでの飛躍を目指す。
敵地・福岡で3連勝したのは、ソフトバンクがダイエーだった04年8月以来17年ぶり。辻監督は「福岡で3タテなんて夢の夢」と頬を緩めた。負傷離脱した山川、栗山、外崎の不在を救い、ピンチをチャンスに変えた。若獅子たちの底上げが辻西武を強くする。(森下 知玲)
◆渡部 健人(わたなべ・けんと)1998年12月26日、神奈川県生まれ。22歳。横浜商大高から1年冬に日本ウェルネスに転校。桐蔭横浜大では通算45本塁打を放ち、2020年ドラフト1位で西武入団。足のサイズは30センチで靴選びに苦戦。176センチ、112キロ。右投右打。年俸1600万円。