「おちょやん」鶴亀家庭劇で元歌舞伎俳優の座員役・曽我廼家寛太郎は本物の喜劇役者

「おちょやん」で「鶴亀家庭劇」の座員を演じている「松竹新喜劇」の曽我廼家寛太郎
「おちょやん」で「鶴亀家庭劇」の座員を演じている「松竹新喜劇」の曽我廼家寛太郎

 放送中のNHK連続テレビ小説「おちょやん」(月~土・前8時)を見ている。関西出身の記者にとって大阪の役者が出てくると、ついその人たちに目がいく。「鶴亀家庭劇」の座員で元歌舞伎俳優、小山田正憲役の曽我廼家寛太郎(そがのや・かんたろう=62)もその1人。本当の喜劇役者で所属する「松竹新喜劇」では舞台に登場しただけでその場を明るくさせ、ひょうひょうとした芝居に定評がある。

 ふだんの素顔は、ドラマほどテンションは高くないものの、陽気な人という印象だ。先ごろ、少し話を聞く機会があった。一般のサラリーマン家庭に生まれ、大阪で育った。「四人兄妹の末っ子だったこともあって、親も好きなことをさせてくれたんでしょう。もともと人を笑わせるのが好きでね」。

 大阪芸大で舞台を学び、新喜劇入り。今はもうないが、大阪・中座で藤山寛美さんの楽屋に行き、入団の面接を受けたことを昨日のように覚えていた。「歌舞伎の世界のような世襲のようなものは、ここでは関係ないから気にしなくていい。稼げる役者になれるかどうかは板(舞台)の上がすべてだ、というようなことを言われました」。そして寛美さんは、正座して緊張の面持ちの若者に意外なことを言う。

 「役者として体のバランス的なものをチェックされたのでしょう。僕の両方の腕が短いことを指摘されたんです。確かに短いので」と振り返る。しかし、これは欠点を指摘したのではなかった。「いい役者にはな、腕の短い人が多いんやで」。寛美さんはむしろ長所であることを伝えた。合否を決める面接だったが、これから純粋に喜劇を志そうとする新人への激励の言葉とも受け取れる。そして喜劇の元祖、曽我廼家五郎の「曽我廼家」に寛美さんの「寛」の字を使った芸名を授かった。

 舞台俳優としてはベテランの域だが、「おちょやん」への参加は新鮮と驚きの連続だった。「映像の芝居にあまり慣れてませんでしょ? 自分だけ演技がオーバーになっている気がしてずっと心配でねぇ。共演者の皆さんを見ながら自然な芝居を目指してましたが、どこまでできたか分かりません」と控えめな口調。一番びっくりしたのは、ヒロイン演じる杉咲花の吸収力と柔軟性だったという。「関西弁の巧みさには、度肝抜かれましたよ。難しいイントネーションも完ぺきですわ。セリフが変わったりすることがあってもすぐに対応されてましたしね」

 現在は舞台「未来記の番人」(大阪松竹座で11日まで)に出演中で、ひと癖ある豪商を演じている。共演は戸塚祥太(A.B.C―Z)、惣田紗莉渚(SKE48)、松田悟志、冨岡健翔(ジャニーズJr.)ら。観客は若い女性が目立つ。

 「新喜劇とは全然違うお客さん層で驚きました。若くてエネルギッシュな人たちとの共演に圧倒されてばかりです」と謙遜するが、ここでも安定感のある存在感をしっかり発揮している。「おちょやん」で「曽我廼家寛太郎」の顔を覚えた方、今度は本物の上方喜劇、松竹新喜劇を劇場に見に来て欲しい、と願っています。(記者コラム)

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