勝って成長、負けて成長の甲子園

明徳義塾に勝利して、笑顔で駆け出す仙台育英ナイン
明徳義塾に勝利して、笑顔で駆け出す仙台育英ナイン

 思わず、おっ? と感じてしまった。それは東海大相模の優勝で幕を閉じた今年のセンバツで、準々決勝が雨天順延となったときの仙台育英・須江航監督の言葉だ。「まだ優勝するだけの力はないと思っていますから、勝ちながら強くなりたいんです」。須江監督といえば、実戦形式での成績を踏まえての選手選考や、継投策や起用法の潔さなど“計算高い”印象が強かっただけに、大会前に優勝するための道程は立てているものだとばかり思っていた。それだけに「計画は計画なので。自分たちもだけど、勝ちながら強くなっている学校がたくさんあると思う。そうなってくると、当初立てていた予定通りにはいかないこともたくさんある」という言葉にも、なるほど、と思った。

 勝つことで自信をつけ、成長するのはわかりやすい。ただ負けることが成長につながることもある。一般社会でいえば、『勝ち=成功』『負け=失敗』、と考えるとわかりやすいだろうか。誰しも『負け=失敗』を経験したくないだろうが、これを一度も経験しない人生なんてあり得ない。夏の甲子園でいえば、優勝する高校以外は必ず負けるのだ。

 どんな経験もプラスにする、と書くのは簡単だが、実践するのは難しい。ただ『負け=失敗』から、何かを学ぶことはできる。ご存じの通り、仙台育英は準々決勝で天理に3―10で大敗した。須江監督は試合後、「優勝が近づいている、という感覚はすごくあります」と2勝したチーム力についての手応えを語った後、敗戦に対して「もう一つちょっと深い考察が必要だな、と思う」とも話していた。同じ東北勢をみても、柴田(宮城)はバント処理や周囲の指示の声など細かいプレーの乱れが失点につながり、京都国際(京都)に競り負けた。序盤に失点を重ねて具志川商(沖縄)に敗れた八戸西(青森)は、大会前まで好調だったエースが聖地のマウンドで“不完全燃焼”に終わったことが響いた。なぜそれまでできていたことが、大舞台でできなかったのか。逆に大舞台でもいつもと変わらずできたことはなんだったのか。それがわかれば、今後の対処法も決まってくるはずだ。

 『勝ち=成功』『負け=失敗』、両方から得るものはあると、高校球児を見てそう感じた。その成果を夏の甲子園で見られることが楽しみだ。(東北支局・有吉 広紀)

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