◆大相撲春場所千秋楽(28日・両国国技館)
関脇・照ノ富士が、4場所ぶり3度目の優勝を決めた。大関・貴景勝を押し出しで破り12勝3敗。関脇以下で3度の優勝は、史上初めてとなった。横綱が5場所連続で不在となった土俵で3大関を総なめにするなど、存在感を見せた。八角理事長(元横綱・北勝海)は照ノ富士の大関再昇進を諮る理事会の招集を明言。理事会で承認されなかった例はなく、事実上、大関復帰が決まった。夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)は19年名古屋場所以来の4大関となる。
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白鵬が途中休場、鶴竜が場所中に引退と5場所連続で横綱不在となる中、出場中の最高位である大関陣の優勝はならなかった。この5場所で大関Vは昨年11月場所の貴景勝のみ。他は関脇が2度、平幕が2度だ。その前に大関が賜杯をつかんだのは、17年初場所の稀勢の里まで遡る。
今場所に目を向ければ、優勝争いを引っ張ったのは、照ノ富士や小結・高安ら。高安の星が伸びなかったこともあり、貴景勝が最終盤になって浮上したが、後塵(こうじん)を拝した。もちろん照ノ富士と高安は大関経験者であり、実績も実力も折り紙付きではあるが、物足りなさは否めない。
来場所は4大関時代となる。八角理事長は「照ノ富士に勝たなければ優勝できないという話」と現在の3大関にハッパをかけた。鶴竜が引退し、白鵬にも陰りが見えるだけに、大関陣には奮起してほしい。(大相撲担当キャップ・三須 慶太)