山田いずみさんが見た高梨沙羅の成長「壁を越えて、たくましくなった」個人総合2位も「楽しんで飛べている」

18年平昌五輪銅メダルの高梨をお姫様抱っこする山田さん
18年平昌五輪銅メダルの高梨をお姫様抱っこする山田さん

 ノルディックスキー・ジャンプ女子の高梨沙羅(24)=クラレ=は28日、4季ぶり5度目のW杯個人総合優勝はならず総合2位で今季を終えた。コーチとして18年平昌五輪まで支えた山田いずみさん(42)が、来年の北京五輪イヤーへ向け、新たな強さを身につけた沙羅についてスポーツ報知に語った。

 28日にロシアでの今季最終戦に臨んだ沙羅は1回目打ち切りもあり7位。4季ぶりの個人総合Vには届かなかった。それでも山田さんは頼もしそうに画面越しの姿を見つめる。「今季はとにかく楽しんで飛べている。壁を越えて、たくましくなった」。幼い頃から師弟関係を続けた2人だからこそ、離れていても変化を感じ取っていた。

 個人ノーマルヒル(NH)銅メダルの平昌五輪後、長男・颯羅(そら)くん(小3)の子育てもありコーチ関係は解消。技術指導はほぼしなくなったが、世界で勝つため助走姿勢など一から基本を作り直す沙羅の様子に、「1つの目標が終わった後のゼロベースからの探求。ストレスで集中しきれない感じがあった」と明かす。

 幼い頃から沙羅は繊細でストイックゆえに、考え込みがちだった。「結果が出ないから、みんな離れていくんでしょ…?」。そんな視線に「そういう訳じゃない。何かあればすぐ相談に乗るからね」。そう約束し、時に母、時に姉のように、沙羅のラインや電話に精神面で助言を送ってきた。

 沙羅は19年に大手飲料メーカー「レッドブル」と契約、他競技選手との関わりも増えた。元々「視野を広く持つために」とジャンプ以外の世界を見る大切さも説いてきた。だからこそ「ジャンプだけが全てじゃない。他の分野でも頑張っている人が多くいる」という沙羅の気づきが、うれしかった。

  • 昨春「一鱗共同水産」に入社し、札幌市中央卸売市場で働く山田さん
  • 昨春「一鱗共同水産」に入社し、札幌市中央卸売市場で働く山田さん

 そして迎えた今年の正月。欧州転戦中の沙羅から「今何してますか? 話しましょうよ!」とラインが入った。師弟関係のあの頃とは違う。出会った当時は飲めなかったお酒の缶を手に2時間、リモート飲みに花を咲かせた。「吹っ切れたようにイキイキして。沙羅、変わったな。ジャンプも充実してるんだなって確信できた」と振り返る。

 平昌五輪から3年。今季の男女歴代最多109回の表彰台記録、前人未踏60勝目は、新たな強さの証だ。「模索したものが正しいからこそ、今季の戦いぶり。満足しない沙羅だから、まだまだ伸びしろもある。来季も期待して見守りたい」。来季W杯、北京五輪でのジャンプを山田さんは楽しみにしている。(川上 大志)

 ◆山田 いずみ(やまだ・いずみ)1978年8月28日、札幌市生まれ。42歳。小1から札幌ジャンプ少年団で競技開始。札幌宮の丘中1年時に宮の森NH、小樽工高3年時に大倉山ラージヒルを国内女子で初飛行。08年コンチネンタル杯で日本勢初優勝。全日本選手権(NH)5回優勝。09年3月引退、13年から女性初の全日本ジャンプコーチを務めた。20年5月、一鱗共同水産(札幌市)に入社し、業界を盛り上げる。

 ◆高梨沙羅と山田さんの歩み

 ▽03年 小学2年生の沙羅が、山田さんに憧れて競技を始める。その後、顔を合わせると指導を受けるようになる。

 ▽09年 沙羅がW杯下部コンチネンタル杯に初出場。山田さんの引退式で花束を渡す。

 ▽10年 沙羅が世界選手権初出場。10月に山田さん結婚。

 ▽11年 沙羅がW杯初出場。山田さんが颯羅くんを出産。

 ▽12年 沙羅がW杯蔵王大会で日本女子初優勝。

 ▽13年 沙羅が初めてW杯個人総合優勝。5月に山田さんが女性初となる全日本コーチに就任。

 ▽14年 沙羅がソチ五輪で個人NH4位。W杯は2季連続2度目の個人総合優勝。

 ▽15年 沙羅が世界選手権で混合団体銅メダル。W杯最終戦で個人通算30勝目。

 ▽16年 沙羅が2季ぶり3度目の個人総合優勝。

 ▽17年 沙羅が2季連続4度目の個人総合優勝。

 ▽18年 沙羅が平昌五輪で個人NH銅メダル。山田さんが育児に専念し、コーチを離れる。

18年平昌五輪銅メダルの高梨をお姫様抱っこする山田さん
昨春「一鱗共同水産」に入社し、札幌市中央卸売市場で働く山田さん
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