【センバツ】東海大相模・求航太郎が公式戦初登板初先発で4回無失点…阪神・平野コーチのおい、異色の苦労人が聖地で躍動

スポーツ報知
先発して4回を無失点に抑えた東海大相模・求(カメラ・馬場 秀則)

◆第93回センバツ高校野球大会第7日 ▽2回戦 東海大相模1―0鳥取城北(26日・甲子園)

 優勝候補の東海大相模(神奈川)は、阪神・平野恵一2軍打撃コーチ(41)のおいで、公式戦初登板の2年生右腕・求(もとめ)航太郎が先発で4回無失点と好投。1―0で鳥取城北を下し、4強入りした18年以来3年ぶりの8強進出を決めた。

 必死に腕を振り続けた。公式戦初のベンチ入りで先発に抜てきされた背番号10の求は、4回2安打無失点と好投。「野手を信じて、チームが勝つために全力で投げることだけを意識しました」。1回戦の東海大甲府戦で先発した背番号18の石川永稀(3年)に続き、伏兵がエース左腕・石田隼都につないだ。エースの消耗を最小限に抑えて勝ち進んだ。

 憧れ続けた舞台だった。母・康子さん(49)の弟は、かつて阪神、オリックスで活躍した平野コーチ。俊足好守で鳴らした叔父と違い、180センチ、83キロの立派な体格を誇る本格派右腕は「叔父さんもプレーしていたので、そういう思いを大事にして投げました」。高校の入学祝いにプレゼントされたグラブを左手にはめ、力強い直球とフォークを投げ込んだ。

 異色の苦労人だ。中学時代は川崎中央シニアで4番・投手として活躍し、シニア日本代表として世界大会優勝も経験。華々しい実績の持ち主でエリートのように見えるが、実際は違う。鹿児島・奄美大島の出身。「もっとすごい選手たちと野球がしたい」一心で、小学校の卒業式翌日に康子さんと2人で母の実家近くの川崎に移住した。

 平日の放課後は平野を育てた祖父・晃二さんにマンツーマン指導を受け、めきめきと上達。一方で独特の方言が通じず、日常生活にも苦労したという。「あっちでは、自分のことを『わん』って言うんです。絶対に伝わらないから直しました」と振り返る。

 この日、アルプス席では両親が観戦。「1勝できたことは報告したいけど、まだまだこの先があるので安心せずに、と伝えたいです」。上京後、父・建臣さん(53)とは2年前に1回会っただけ。ストイックな生活で野球に取り組む16歳は、頂点に立つまで油断はしない。(片岡 泰彦)

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