【箱根への道】青学大5年生・竹石尚人は静岡朝日テレビに就職「準備とこだわり大切に」

スポーツ報知
4月から静岡朝日テレビに就職する竹石

 春、卒業の季節。4年生は次のステージに進む。実業団で競技を続行する選手は箱根の山より高い山を目指す。その一方で競技の第一線から退く選手も多い。あえて留年して青学大で5年間を過ごした竹石尚人(23)は静岡朝日テレビに就職する。東京国際大に29歳で入学し、33歳で卒業した渡辺和也は教員を志望し、今後、採用試験の突破を目指す。2人は学生最後のインタビューに応じ、「箱根への道」を振り返った。必ずしも思い通りにいかなかった大学時代の経験を糧に社会に旅立つ。(取材・構成=竹内 達朗)

 第97回箱根駅伝で、竹石は最も注目された選手の一人だった。4年時に故障で出場できず、留年を選択。「5年生」として青学大の5区を担った。自信を持って山に挑んだが、まさかの区間17位…。それから3か月近くが過ぎた。当時の思いを静かに語った。

 「(昨年)12月30日に正式に5区が走ることが決まりました。神林(勇太、4年)、(吉田、4年)圭太、主務の鶴貝(彪雅、4年)をはじめ、みんなが背中を押してくれた」

 2年連続で11番目の選手となり、結局、箱根駅伝に一度も出場できなかった新号健志(4年)からも心からのエールを受けた。

 「新号は『竹石さんなら行けますよ』と言ってくれた。その言葉はしみました」

 心身ともに充実し、1月2日を迎えた。前年覇者の青学大は2区と3区で苦戦。首位の創価大と3分41秒差の10位でタスキを受けた。

 「途中経過は分かっていたので動揺はありませんでした。できるだけ挽回しようと思った。直前の練習はできていたので、悪くても区間5位、良ければ区間賞も、と思っていました」

 しかし、何が起こるか分からないのが箱根駅伝。3・5キロの函嶺洞門では区間2位だったが、7キロの大平台では区間18位と急落した。

 「走り出したら感覚が悪かった。12キロから足がけいれんした。今、思うと、最初から最後まで空回りしていました」

 2人に抜かれ、12位で芦ノ湖にたどり着いた。長くて苦しかった1時間15分59秒の間、竹石が考えていたことは一つだけだった。

 「1秒でも速く、という気持ちだけで走っていました。走り終わった後はチームメートと、信頼して起用してくれた原(晋)監督に申し訳ない気持ちでいっぱいでした」

 5年目の序盤は故障が長びき、出遅れたが、夏合宿以降、ほぼ完璧に練習メニューをこなした。10月31日には1万メートルで自己ベストを32秒16も更新する28分50秒63をマークした。

 「チームに残ることを認めてくれた原監督、5年生の僕を受け入れてくれたチームメートに感謝しています。5年目は10月に(1軍の)町田寮に移るまで第2寮で生活していました。そこで普通に接してくれた大蔵(洋人、4年)、野川(寛太、3年)、渡辺(大地、3年)には特に感謝したい。新シーズンで野川は主務として、渡辺は箱根駅伝を走れるように期待しています」

 箱根路で栄光も挫折も味わった。1年時は出場せず優勝。2年時は出場(5区5位)して優勝。3年時は出場(5区13位)して優勝ならず(2位)。4年時は出場せず優勝。そして、5年目は出場(5区17位)して優勝ならず(4位)。これほど多くのパターンを経験している選手はまれだ。

 「最も思い出深い箱根駅伝は優勝した2年と4年の時、と言いたいところですが、やはり5年目ですね。結果は悔いが残るし、本当にチームに申し訳なく思います。それでも、最後までやりきったことに悔いはありません。先輩、同期、後輩、監督、スタッフのお陰で充実した5年間を過ごすことができました」

 1月末に選手寮を退寮。4月からは静岡朝日テレビで一社員として働く。

 「市民ランナーとして走り続けるつもりですが、まずは仕事が一番。青学大は練習などにテレビカメラが密着することが多かったので、その経験を生かして、取材相手のことを考えられるテレビマンになりたい。チームで学んだ『準備とこだわり』を大切にして社会人として頑張ります」

 5年間の長い学生生活を終えた竹石は、これから、もっと長い社会人生活に胸を張って進む。

 ◆竹石 尚人(たけいし・なおと)1997年7月1日、大分・九重町生まれ。23歳。九重町立南山田中2年から陸上を始める。3年時に1500メートルで県大会3位。鶴崎工高3年時に全国高校駅伝1区32位。2016年、青学大総合文化政策学部に入学。学生3大駅伝は6回出場。2年時の箱根駅伝、3年時の出雲駅伝で優勝メンバーに名を連ねた。4年時は寮長を務めた。自己ベストは5000メートル14分5秒40、1万メートル28分50秒63。174センチ、54キロ。

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