安心・安全なきまま聖火リレーが25日スタート 東京五輪は見切り発車で開催されてしまうのか

東京五輪聖火リレーのトーチ
東京五輪聖火リレーのトーチ

 東京五輪の聖火リレーが25日、福島県のJヴィレッジから始まるが、祭りの前の高揚感は全くない。それどころか、新型コロナウイルス感染再拡大の兆候があり、聖火リレーをスタートしても大丈夫だろうかという不安感の方が強い。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長は「安心・安全の大会の東京大会を開催できるように全力を尽くす」と決意を述べているが、聖火リレーに「安心・安全」はあるだろうか。組織委などは、沿道の観客には密集にならないように求め、社会的距離をとり、マスクの着用、大声ではなく拍手で応援するよう要望している。過度な密集が生じた場合には、リレーの中断もあり得るという。

 タレントらの著名人が聖火ランナーを相次いで辞退している。自分が走ることで観客が集まり、迷惑をかけてしまうという思いが強いからだろう。各自治体は、集客を期待しての依頼だったはずだが、「密になっては困る」という開催では、「困る」のは走る方だろう。「歓迎されてない」と感じる人がいてもおかしくない。

 島根県の丸山達也知事は東京都の感染状況が改善されなければ同県内でのリレーを中止する考えを主張。スポーツ報知のアンケートでも、なかなか対策案が提示されず、多くの自治体がコロナ禍の聖火リレーを不安視。具体案が示されたのは聖火リレーの1か月前という遅さだった。

 感染拡大というリスクがありながら、あえて祝祭感のない聖火リレーを行う必要はあるのだろうか。コロナの状況を見ながら、開会式直前の1か月で東京近辺を回るとかに変更できなかったのだろうか。平時ではないのだから、国際オリンピック委員会の理解も得られたはずだ。

 共同通信の最新の世論調査によると、東京五輪開催について、「中止」と「再延期」を合わせると7割を超えた。私はその要因のひとつには、いつまでたっても示されない“開催基準”にあると考える。有識者からは開催するための条件となる感染者数や医療態勢などの基準を示すべきとの声が上がっている。そこには、もちろん、中止の選択肢も含まれなければならない。そのことがないから、国民は疑心暗鬼になっているのだ。

 東京五輪が延期になったのはちょうど1年前の3月24日だった。それが、今年はまだ4月に国内の入場者数を決めるとしている。遅いと言わざるを得ない。国民の賛同なしの五輪開催は考えられないが、聖火リレーを行うまでの一連の流れを見ていると、見切り発車の一発勝負のように見えてならない。しかし、東京五輪本番を一発勝負にしてはならない。(久浦 真一)

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請