近大・山内梓が5度ボーダーライン通過の粘りで初の五輪代表…アーチェリー女子

スポーツ報知
東京五輪代表に内定し、笑顔の山内

◆アーチェリー東京五輪最終選考会最終日(21日、東京・夢の島公園アーチェリー場)

 静岡・浜松商高出身で近大4年の山内梓(22)が630点で3位に入り、東京五輪女子代表に内定した。1次選考会から4度ボーダーラインで通過してきた山内は、悪天候で周囲がスコアを落とす中、一時は1位タイに浮上するなど安定した射的を見せて競技歴7年で初の五輪出場を決めた。東京五輪アーチェリー競技は7月23日から、夢の島公園アーチェリー場(東京都江東区)で行われる。

 五輪への思いがこもった一射一射が、春の嵐を切り裂いた。強風注意報が出る悪天候。他の3選手が前日から20点以上スコアを落とす中、山内は「自分のリズムを崩さないことだけ意識」と、全12エンドの大半を最初に打ち終わるテンポの良いリリースを貫き、前日の記録との差を12点に抑えた。実業団選手2人に食らいついて初の五輪出場を決め「まだ実感がわかないです」と手元のスコアカードを見つめた。

 「ギリギリガール」が五輪までたどり着いた。6日あった選考会のうち、この日も含めて5度ボーダーライン上で通過。「ずっとギリギリだった」と笑いながらも「1戦ごとに課題も見つかったので『次の選考までに成長すればいい』と思っていた」。

 選考会の合間に金清泰コーチとフォーム作りから見直し、それを支える下半身のトレーニングも積んだ。1年前の2次選考2日目(20年3月22日)は57点差だったトップに、この日は3点差と肉薄。山田秀明監督(70)は「(最終選考会が)去年だったら無理だった。常に前向きな精神力が山内の強み」とたたえる。

 強い気持ちが左腕の痛みも忘れさせた。1週間前の練習中、左腕に覚えた違和感が「疲労骨折の疑い」と診断された。大舞台直前のアクシデントにも痛み止めを打っての出場を決断し「アドレナリンが出て痛みは感じなかった」と笑った。

 高校から競技を始め「何で(的に)当たっているか分からなかった」ところから7年でつかんだ五輪切符。「地元の友だちから『浜松から応援してるよ』ってメッセージが来た。メダルを取ってみんなに恩返ししたい」。浜松出身のシンデレラガールが、支えてくれた人々の思いを背負い五輪の舞台に立つ。(内田 拓希)

 ◆山内 梓(やまうち・あずさ)1998年9月11日、浜松市生まれ。22歳。与進中から浜松商に進学。高校1年で競技を始めた。高3の全国総体団体戦で優勝に貢献。近大に進学し大学3年でインカレ個人V。159センチ。家族は両親と姉2人。

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