日本初の靴職人養成学校「エスペランサ靴学院」大阪で再出発 大山一哲学院長「足元から世界を輝かせる」靴で生きていくスキル総合的に

開校を前に意欲を語る大山学院長
開校を前に意欲を語る大山学院長

 ビジネスとして自立できる靴職人を育成する。日本初の靴職人を養成する学校「エスペランサ靴学院」が、46年間積み重ねた東京・浅草での歴史に幕を下ろし今春、大阪で新たなスタートを切る。19年5月に学院を運営していた会社が再編され、同年度での閉校が決まったが、業界内外からの存続を希望する声に後押しされ「だったら大阪でやらせてくれ」と名乗りを上げたのが、学院長に就任した19期生OB・大山一哲氏(48)だ。

 製靴会社を営む家庭に生まれた大山氏。5人兄弟の末っ子だったため、家業を継ぐ気はなかったが、高校時代のある日、街中で父が作った靴を履いた人を見かけた。「こんなことがあるのか」。それ以降、すれ違う人の足元を気にしてみると、幾度となくその愛用者に遭遇した。その感動は行動に移り、エスペランサ靴学院に入学。卒業後はイタリアでも本場の技術を学び、父の手伝いを経て独立。自身の会社を設立した。

 製靴業界は外国からの廉価でかつ、大山氏も「めちゃくちゃいい」と認めるほど高性能な商品が多く流通しているだけでなく、時代の変化により、そもそも革靴を履く習慣が縮小しているため、厳しい状況に陥っている。しかし大山氏は「こんな時でも30万、50万とする靴を作る人はたくさんいる。ブランドマーケティングです」と、その戦略により革靴自体の価値を高めることが必要だと説いた。

 今回、同学院の再出発にあたり、ビジネスコースを新設したのはそこが狙いだ。「靴職人は良い靴を作っても売り方を知らない」。金融学やSNSなどを利用した営業手法もカリキュラムに組み、自立への手助けを行う。さらに靴を作って売るだけでなく修理技術、いわゆる「リペアー学」も組み、靴で生きていくためのスキルを総合的に伝授していく。

 「足元から世界を輝かせる」。大山氏の口癖だ。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、昨春の開校予定が1年遅れたが、今期は8人がエントリーしている。自らの経験をもとに、地元大阪で世界を輝かせる新たな人材を育てていく。

 ◆エスペランサ靴学院 1973年、東京・浅草に開校した靴職人を養成する日本で初めての教育機関。46年間で1000名を超える卒業生を輩出した。19年度をもって閉校が決まるが、大阪市浪速区の「Aダッシュワーク創造館」に移転。20年春に開校予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で1年遅れ、今春再スタートする。募集定員は15人で、募集期間は終了しているが、今春入学についても応相談。問い合わせ、詳細は同施設(電話06・6562・0410)まで。

社会

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請