名古屋ウィメンズVの松田瑞生「もっともっと恩返しを」 日本記録挑む姿で勇気与えたい

名古屋ウィメンズマラソンで優勝し、記者会見で笑顔を見せる松田瑞生(代表撮影)
名古屋ウィメンズマラソンで優勝し、記者会見で笑顔を見せる松田瑞生(代表撮影)

 14日の名古屋ウィメンズマラソン(バンテリンドームナゴヤ発着)を2時間21分51秒で制した東京五輪補欠(候補選手)の松田瑞生(25)=ダイハツ=が15日、名古屋市内で取材に応じた。最大風速約10メートルという厳しいコンディションの中で強さを見せつけた女王は「過酷なレースで、コースを考える余裕がないほどきつかった。競技人生で忘れられない1本になりました」と笑顔で話した。

 フィニッシュ直後は自己記録に4秒届かず悔し涙を流したが、この日は晴れやかな表情を見せた松田。母・明美さんからの「あんた泣きすぎやわ! もっとかわいく映って欲しかったわ!」という連絡をはじめ、200を超えるメールなどが入ったそうで「『大人になったね』『感動した』『私も泣いた』っていうコメントが来ていました。周りを巻き込むくらい自分の気持ちが表に出ている走りができたのはうれしい」。2月のびわ湖毎日マラソンで日本新を樹立した鈴木健吾(25)=富士通=からも「オレもまだまだ頑張らないといけない」という言葉が届いたという。

 補欠(候補選手)として迎える今夏の東京五輪。モチベーションを保つのが難しい立場ではあるが「補欠である以上、一緒に戦わないといけない。日本VS世界なので、出る選手と同じ気持ちで準備したいし、レースに向けて調子を合わせていきたい」ときっぱり。1年前は五輪最後の1枠を一山麻緒(23)=ワコール=に譲る形となって涙したが、負ける悔しさを知って精神面でも大きく成長した。

 日本歴代7位の自己記録2時間21分47秒には届かなかったが、22キロ過ぎから独走だったことや厳しい気象条件だったことを考えると、さらなる好記録も視野に入る。レース後には、日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトの瀬古利彦リーダー(64)も「風を差し引けば、あと1分半~2分くらい良い。日本記録を出せる力はある」と太鼓判。この日の会見に同席した山中美和子監督も「(日本記録保持者の)野口みずきさんは私と同い年で、今回もアドバイスというか、いくつかお話を聞いていた。やっぱり距離を走った選手が結果を残せる。それに耐えられる体力や記録を持ち合わせた選手が強い。松田選手はそれを持っている」と自信を見せる。

 うっすら見えてきたパリ五輪について、松田は「あんまり何とも言えないですね…」と実感は薄い様子だったが、日本記録更新については「挑戦し続けることに意味があると思うし、挑戦し続けたい。もっともっと、沢山の方に応援してもらっていることに対して走りで恩返ししたい」と貪欲。速さと強さを兼ね備え、大記録へのチャレンジは続く。

 ◆松田 瑞生(まつだ・みずき)1995年5月31日、大阪市生まれ。25歳。中学2年で陸上を始め、大阪薫英女学院高では3年連続で全国高校駅伝に出場。卒業後にダイハツ入りした。2017年日本選手権1万メートル優勝。同年のロンドン世界陸上19位。18年の大阪国際女子でマラソンデビューし優勝。昨年の同大会で日本歴代7位の2時間21分47秒をマーク。家族は両親と姉、妹、弟。

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