宝塚歌劇星組が兵庫・宝塚大劇場で、1か月半に及ぶロングラン公演「ロミオとジュリエット」(29日まで)に挑戦中。宝塚では約8年ぶり5度目の上演だ。
対立する家同士の若い男女が突然の出会いでひかれ合い、純愛ゆえに歯車が狂い出す悲劇。ロミオ(礼真琴)のモンタギュー家は青、ジュリエット(舞空瞳)のキャピュレット家は赤と、構図が一目瞭然の衣装の色はほぼ踏襲しているが、フード付きのロミオのシンプルな服が何かと話題だ。
潤色・演出の小池修一郎氏は「(2010、13年主演の)柚希礼音さんはワイルドでたくましいイメージで、王子様の色を出すのには飾った衣装の力が必要だったが、礼はナイーブでセンシティブ。飾りが少なくて宝塚では良いのか分からないが“等身大”。現代の若者の感覚が上書きされている。紺色で地味ですが、物語のリアリティーを損なわず、宝塚の男役の美しさとも両立できているのでは」と解説した。
役替わりも見どころ。記者はティボルト=愛月ひかる、ベンヴォーリオ=瀬央ゆりあ、死=天華(あまはな)えまの王道配役Aパターンしか観劇できなかったが、小池氏は「Bは愛月が『死』。天華はロミオに近しく常に背後にいる感じだが、愛月の方は距離のあるところからにらみ、ずっと見ている。また、愛月のティボルトが悩み多くメランコリックであるなら、Bの瀬央は情熱的に突っ走っていくタイプ。見え方が違い、どちらも面白い」と評価した。
東京宝塚劇場では4月16日~5月23日。(ペン&カメラ・筒井 政也)