珠城りょう、笑いと涙にあふれた“サヨナラ第1弾”「幽霊刑事~サヨナラする、その前に~」…宝塚バウホールで23日まで上演中!

“幽霊刑事”神崎のシルバーのコートで踊る宝塚歌劇月組トップスター・珠城りょう
“幽霊刑事”神崎のシルバーのコートで踊る宝塚歌劇月組トップスター・珠城りょう

 今年8月15日付で宝塚歌劇を卒業する月組トップスター・珠城(たまき)りょうが、兵庫・宝塚バウホールで「幽霊刑事(デカ)~サヨナラする、その前に~」(脚本・演出、石田昌也)で、笑いと涙にあふれた“サヨナラ第1弾”に臨んでいる(23日まで)。

 理由も分からず上司の経堂課長(光月るう)に撃ち殺された刑事・神崎(珠城)は、同僚の婚約者・須磨子(天紫珠李)を残したため、成仏できずに幽霊に。しかし、祖母がイタコの同期・早川(鳳月杏)は自分の姿が目に見え、会話もできる霊媒体質の持ち主だった!

 かくして2人は異例(慰霊?)のバディとなり、署内の刑事連続不審死の謎に迫る。2期先輩ながら、珠城が「同志」と信頼を寄せる実力者・鳳月とのタッグは、重厚にして軽妙だ。

 セリフで「シティーハンター」にも「シャーロック・ホームズ」にも負けない2人だと先々 →→ の大劇場作の主役の名がジョークで挙がったが、その捜査法は独特で愉快。2人の会話が、周囲には早川の奇怪な独り言に見えるのが物語の妙味だ。神崎を幽霊らしく映す照明技術で説得力を持たせている。

 コメディー要素もたっぷりだが、原作が本格派ミステリー作家・有栖川有栖氏の小説でもあり、伏線が随所にちりばめられ、その回収が気持ちいい。

 プレ退団作だけに泣きの要素も。神崎の須磨子への心情を表現したデュエットダンスはショパンの「別れの曲」に乗り、財津和夫の名曲「切手のないおくりもの」が印象的に使われ、サヨナラムードを演出する。

 珠城はカーテンコールで「神崎の人生を通し、愛情、友情、様々な人との絆を感じ、一度固く結ばれた絆は、本人たちが望めば変わることがないと知り、珠城りょうとしての人生も大切にしたいと改めて思うことができました」と、幸せに満ちた笑顔であいさつした。

 舞台場面は警察署内が中心で、出演者も28人と小規模だが、温かな余韻が残り、これが本当の退団作でもよかったのではと思えるほどの出来映え。しかし、大劇場サヨナラは、珠城の出世作のバウ初主演「月雲の皇子」(2013年)も手掛けた奇才・上田久美子氏の「桜嵐記」。こちらも“粋なお別れ”を期待したい。

 劇中によると、人間はあの世に旅立つ際に「幸せだったか」「誰かを幸せにしたか」の2つを問われるのだという。入団9年目の若さでトップに就任したため、14年目の早い退団となるが、フル回転だった宝塚人生は、どちらの答えも「はい!」に違いない。

 20日午後3時30分開演の部はRakutenTV、U―NEXTで有料ライブ配信される。(筒井 政也)

〇…元花組トップ娘役・仙名彩世 2019年に退団した元花組トップ娘役・仙名彩世(せんな・あやせ)がこのほど、スポーツ報知の取材に応じ、第94期の同期・珠城にメッセージを送った。高校から宝塚音楽学校に進んだ時期も同じの“リアル同級生”で「多くを語らなくても分かり合える存在。早くからトップになって組を引っ張っている姿は、すごく尊敬しますし、私の支えになっていた」と感謝し「とにかく体と心が元気なまま千秋楽を迎えてほしい」と8月までの全力疾走を祈った。

 自身はミュージカル「ゴヤ―GOYA―」(4月8~29日、東京・日生劇場など)の出演を控える。聴力を失った画家ゴヤ(今井翼)に再起の影響を与える資産家役。「人を動かせるだけのエネルギーがいる役。全力を傾けたい」と珠城に負けないほど魂を込めている。

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