◆明治安田生命J1リーグ F東京3―2C大阪(6日・味スタ)
一連の動作に、熟練の技が詰まっていた。前半14分。大久保は右サイドのMF坂元が左足でボールを持つと、一気に加速した。「(坂元が)蹴る瞬間にDFの前に入って、GKの間で合わせようと思った」。オフサイドにならないようにDFの前をすり抜け、どんぴしゃりのタイミングでラストパスに飛び込んだ。
シュートは頭がボールにわずかに触れただけ。しかしここにも理由があった。「ボールを頭にしっかり当てると、(角度的に)多分外すなという思いがあったので。ちょっと当たって、ゴールに吸い込まれればいいなと思った」。開幕から3戦連発で、自身のJ1最多得点記録を更新する189点目。得点ランキング単独トップの今季4点目を「できすぎかなと思います」と謙遜した。
前節川崎戦に続いて2試合連続で古巣相手に得点し、後半13分にはアシストもマーク。しかしチームは自身の交代後に2失点し、2試合連続の逆転負け。それでもネガティブな言葉は口にせず、課題が見つかったことを前向きにとらえた大久保。「ゴール前で余裕を持てているのは大きい。今はシュートを打てば入りそうな気がする」。ピークを過ぎたはずの38歳は、さび付かない技術と経験を武器に、ゴールを奪えることを証明している。(金川 誉)
◆開幕からの連続得点記録 最長は1998年に達成した森島寛晃(C大阪)の「7」。第2節の横浜M戦でハットトリックを決めるなど7試合で10ゴールをマークし、J1全体での連続記録としても2位タイに位置する。2位は「4」で、前田治(横浜F・93年)、城彰二(市原・94年)、柳沢敦(鹿島・98年)、ラファエル・シルバ(浦和・17年)の4人。