北海道ハイテクAC“3人娘”の残像

恵庭市のインドアスタジアムのホールに飾られている北海道ハイテクAC「3人娘」の写真
恵庭市のインドアスタジアムのホールに飾られている北海道ハイテクAC「3人娘」の写真
08年4月当時の北海道ハイテクAC「3人娘」(左から福島、北風、寺田)
08年4月当時の北海道ハイテクAC「3人娘」(左から福島、北風、寺田)

 先日、陸上の北海道ハイテクAC練習拠点のインドアスタジアム(恵庭市)を久しぶりに訪ねた。3月15日付けで退任が決まった北風沙織監督(35)を取材するためだ。ホールに飾られた「3人娘」の写真を見ながら、時代の流れを強く感じた。

 写真は、私が08年4月のシーズン開幕戦・織田記念(広島)を目前に、新ユニホームを試着した北風(当時23)、福島千里(同19)=現・セイコー=、寺田明日香(同18)=現・パソナグループ=3選手を取材し撮影。その後、チームに寄贈したものだ。福島は07年に道ハイテクAC入り、07年大阪世界陸上代表・北風と、恵庭北高で高校総体3冠(100メートル、100メートル障害、400メートルリレー)に輝いた寺田は、08年から加わった。写真の全員が輝く未来を指さすポーズは、希望にあふれていた。北風監督も「あの頃は、全員が『北海道から世界』を目指し夢中でした」としみじみ話した。

 名将・中村宏之監督(当時62)の指導のもと、福島は08年の織田記念100メートルで11秒36の日本記録タイを出し一気にブレイク、同年行われた北京五輪の陸上女子100メートルで日本勢56年ぶり代表入り、その後日本新も連発、五輪3大会連続出場。寺田も09年ベルリン世界陸上出場、北風も2010年に福島と400メートルリレーで日本新(43秒39)を樹立。私も“黄金期”を密着させてもらった。しかし、13年に寺田、17年に福島が去り、チームの勢いも減速。

 06年のチーム創設以来、指導してきた中村前監督も20年秋で退任。選手は走り高跳び京谷萌子(29)、短距離の島田雪菜(22)2人だけとなり、昨秋就任した北風監督も、コロナ禍で支援体制を含む環境変化、子育てなどとの両立に悩み、半年余りで退任を決意した。これまで滋慶学園グループが支援してきたが後任監督は置かれず、今後は子供たちの健康増進などを目指す「北海道ハイテクACアカデミー」の運営へ力を入れていくという。

 北国の“ハイテク基地”として脚光を浴びたインドアスタジアムに、かつては鳴り響いた「3人娘」の力強いスパイク音と屈託ない笑顔も今は、過去の思い出。「栄光の残像」も次第に薄れつつある。日本陸上界に旋風を吹き込んだ北の名門クラブがこのまま消えていくのは、あまりにもさみしい気がする。(北海道支局・小林 聖孝)

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08年4月当時の北海道ハイテクAC「3人娘」(左から福島、北風、寺田)
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