誰もいなくなった東京五輪・パラリンピック 問題点から目を背けたままでは何も変わらない

 ドーム社・安田秀一社長が日本経済新聞紙上に掲載したコラムが大きな反響を呼んでいる。1984年の米ロサンゼルス五輪での成功事例を紹介し、日本における縦型組織の限界などを指摘している。

 ひとつ言えることがある。日本でもすでに5年以上前から、アスリート、安田氏ら経営者や政治家、官僚らが日本のスポーツのあり方、五輪の問題点について、議論を重ね、警鐘を鳴らしている。しかし、その提言に向き合わず、権限を持つ人々は「時期尚早」などと、反発した。もしくは聞こえないふりをした。結果、数々の問題は先送りされてきた。

 国立競技場や公式エンブレムの白紙撤回に始まり、開催都市のトップだった猪瀬直樹、舛添要一両氏は自ら招いた不祥事で政界から姿を消した。延期を決めた安倍晋三首相は昨年、体調不良で辞任し、森喜朗会長もまた女性蔑視発言で身を引いた。招致時の中心人物が次々と表舞台から去ってしまった。これを「惨状」と言わずに何と言えば良いのか。

 福島県郡山市出身で、小説家の古川日出男さんは「復興五輪という言葉は、コロナに打ち勝った証に、変わってしまった」と指摘している。トップが交代し、組織委が橋本聖子会長、五輪相が丸川珠代氏になれば、それですべてが解決されるのだろうか。問題点から目を背けたままでは、現状は変えられない。    (記者コラム・久保 阿礼)

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