日本と異なるコロナの影響が響いた海外競馬 フランス競馬記者「オーナーのためにまずは経済回復」

コロナの影響があったフランスのパリロンシャン競馬場
コロナの影響があったフランスのパリロンシャン競馬場

 JRAのトレセン従業員らが、新型コロナウイルス対策の持続化給付金を受給していたことが問題視されている。JRAはアンケート調査を厩舎関係者ならびに調教師、騎手に実施し、実態解明を急いでいる。日本調教師会は、コロナによる経済的な影響はほぼなかったとしている。JRAによると、昨年は実施レース回数が過去最多。生活困窮者が手にするはずの受給資格があったとは思えない。

 一方、昨年の海外競馬は日本とは異なる状況だった。競馬ファンの記憶に新しいのは、毎年3月に行われるドバイ・ミーティングが、開催直前で急きょ中止に。現地入りしていた日本調教馬やクリストフ・ルメール騎手らは、レースをすることなく帰国を余儀なくされた。また、イギリスは3月18日~4月末まで、フランスは同17日~4月15日まで新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開催が中止となった。アメリカは3冠競走初戦のケンタッキーダービーが5月から、9月に延期されるなど、出走馬のローテーションに大きな影響を与えた。

  • フランスのミカエル・ミシェル騎手
  • フランスのミカエル・ミシェル騎手

また騎手への影響も少なくなかった。移動が制限される状況で、乗り鞍を集めるのに必死だったという。日本でもおなじみのミカエル・ミシェル騎手は昨年4月に日本から、母国フランスに戻り、騎乗を続けた。「コロナでパリ近郊の競馬場で競馬が開催できないときは、遠方で乗らなければなりませんでした。それでも、乗れるレースがあるだけ幸せなことで、乗れない人も多く見てきた」と振り返る。

 21年に入ってからも海外では新型コロナによる影響から逃れられない。英国は1月初旬から3度目のロックダウンを行っている。日本の馬券購入とは異なり、ブックメーカーでのオッズを見ながら賭ける欧州競馬は今も営業が苦しい状況だ。ロックダウンの下、生活に必要最低限とみなされていないのはブックメーカーの店舗。英・レーシングポスト電子版は「(新型コロナウイルスの)感染拡大防止の取り組みに諦めることはありませんが、経済を再び開放する必要がある。ブックメーカーやカジノで雇用されている何千人もの人々はを守らなければならない」と論じている。

 日本では昨年2月29日から約7か月間の無観客開催が続き、ウインズなどの事業所では馬券発売が中止された。しかし、ネットでの馬券購入が通年で可能だったため、20年の総売り上げは2兆9834億5587万2000円で、前年比3・5%増と9年連続のアップ。また、JRAはネット投票の売り上げが前年比35・6%の大幅増。「お客様総数」として発表された参加人数も前年比20・1%増で、海外に比べれば、コロナショックの影響が小さかったと言える。

 フランス競馬専門紙・パリチュルフのサンティ氏にコロナ禍の状況について聞いてみた。「20年以上も競馬に関わってきているが、昨年の状況は考えれなかった。ジョッキー、トレーナーの収入は減少した。でも競馬は“貴族の遊び”なんだ。お金を持っている人が、馬を走らせ、それを見て楽しむ。収入より何より、オーナーがいてこその競馬。オーナーのために、まずは経済回復が最優先になる。じゃないと馬が走れないからね」

 日本と欧州。同じ競馬でも価値観が違う。日本では国の娯楽として、またギャンブルの側面が強い。前述のサンティ氏は「それでもホースマンたちにとっては、レースが行われてほしいと願っている。われわれメディアも同じで、レースが行われないと何も書くことができない。今年こそ無事に全日程が行われてほしい」と続けた。

 売り上げの面では、ほとんどコロナの影響を受けなかったと言える日本競馬。海外では相次ぐレース中止や開催延期が見られた20年。今年は一昨年までと同様に海外競馬もスケジュール通りに行われ、再び日本のサラブレッドの力を世界に示す1年になってほしい。

(中央競馬担当・松浦 拓馬)

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フランスのミカエル・ミシェル騎手
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