日本代表を“金”に導く外国人指導者 バドミントン朴柱奉コーチは経験伝え「常勝軍団」に 20年以上の長期政権

リオ五輪で日本初の金メダルを獲得した高橋(右)、松友ペアと抱き合う朴コー
リオ五輪で日本初の金メダルを獲得した高橋(右)、松友ペアと抱き合う朴コー

 世界クラスの技術を伝える伝道師も、また東京五輪を待ち望んでいる。バドミントン日本代表のヘッドコーチ(HC)を務める韓国人の朴柱奉(パク・ジュボン)氏(56)は、教え子たちと強固な信頼関係を築き、確かな足跡を残してきた。コーチングへの信念や五輪への思いを聞いた。

 バドミントンの日本代表を率いる朴柱奉HCは昨年末、2025年3月末まで日本協会との契約を更新した。これにより、就任から20年以上の長期政権となることが決まった。

 バドミントンが五輪正式種目となった1992年バルセロナ大会の男子ダブルス金メダリスト。東京五輪で日本を全5種目で優勝が狙えるまでに育て上げてきた。「まずは東京五輪でメダルを取ることに集中し、終わってからは3年後(パリ五輪)に向けたビジョンも進めていきたい」と力を込めた。

 朴HCは、04年アテネ五輪後に就任した。母国の韓国は同大会で全15個のメダルのうち、4個を獲得した強国。当時、五輪表彰台に立った経験がなかった日本に足りないのは、中国や韓国、インドネシアといった強豪国との対戦経験だと考えた。それも、世界ランクポイントの稼ぎやすい下部ツアーではダメ。早期敗退しても、トップ選手が集う高い格付けの大会へ遠征を続けた。現在も基本となっている、合宿→遠征→帰国→合宿→遠征の活動サイクルを確立し、走力など基礎の体力も含めた質の高い練習で強化。8年後の12年ロンドン五輪で結実し、女子ダブルスの藤井瑞希、垣岩令佳組が日本勢の五輪初となる銀メダルに輝いた。

 指導手腕で特に優れているのは「モチベーター」としての側面だと日本協会の銭谷欽治専務理事は語る。「朴さんを買っているのは、選手に迎合しないところ。トップ選手も伸び盛りの若手も同じように接し、選手のやる気を引き出すのがうまい」。観察眼と記憶力も細やかだ。日本協会関係者は「例えば囲み取材でどの記者の方がどんな質問をしたとか、全部覚えている」と明かす。単に厳しい練習を課すだけでなく、信頼を得る人格を備えているから選手もついてくる。技術指導は各5種目に専門コーチを置き、自身は父親のように全体を統括する理想のスタイルが強さの源になっている。

 朴HCが15年以上かけて築いた“常勝体制”。混合ダブルスで19年世界選手権銅メダルの渡辺勇大(23)=日本ユニシス=は「指導者に恵まれているのは、間違いなく強くなっている要因。誰かが勝てば、僕も勝てると思える気持ちの相乗効果もある」と感じている。

 25年末の任期まで残り4年。成すべきは、現在の強さが何十年も続くシステムを固めておくこと。渡辺は「20年たてば指導者も代わるし、今の選手もあと20年やるのは難しい。僕個人の考えですけど、組織として確実に強い選手を育成するシステム、小さい頃から階段を上って、絶対的に強くなる環境を整えることは大事だと思う」と指摘した。最高の黄金期にあるからこそ、朴HCの功績を未来につなげられるかが、試されている。(細野 友司)

 ◆朴 柱奉(パク・ジュボン)1964年12月5日、韓国出身。56歳。選手時代はダブルスで活躍し、五輪では92年バルセロナ大会男子複金メダル、96年アトランタ大会混合複銀メダル。世界選手権は85、91年大会で男子複、混合複の2冠。86年ソウル・アジア大会でも2冠に輝いた。引退後はマレーシアなどで指導実績を積み、2004年11月に日本代表HC就任。                      

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