【東日本大震災10年】東北から藤井聡太二冠2世を 日本将棋連盟が4月11日に東北研修会を新設

スポーツ報知
東北研修会幹事の(前列左から)阿部健治郎七段、佐藤秀司八段、中川大輔八段、熊坂学五段。(後列左から)島朗九段、鈴木桂一郎指導棋士三段、佐藤康光九段、加藤結李愛女流初段、森下卓九段

 4月11日に新設される日本将棋連盟「東北研修会」のプレイベントが2月28日、仙台市内で催され、将来の棋士を志す子供たち34人が集まった。東日本大震災の発生から被災地支援を続けてきた連盟にとっては、10年の節目での悲願成就。藤井聡太二冠(18)=王位、棋聖=も小学生時代に東海研修会で修業し、棋士への道を歩み始めた。被災地から次の藤井二冠を―。東北発の夢が始まった。(北野 新太)

 「六十八の瞳」は、憧れの棋士たちを前にしてキラキラと輝いていた。東北中から集まった7~14歳の腕自慢34人。将棋連盟東北統括本部長の島朗九段(58)は「長年の夢が叶いました。こんな日を迎えられるなんて感慨無量です。皆さん、今日は一日、楽しんでください」とあいさつした。指導対局が始まると、真新しい駒音が連続して鳴った。

 東北地方は中原誠十六世名人(73)=宮城県塩釜市出身=を輩出し、出身の現役棋士も6人(女流棋士1人)いるが、これまで将棋連盟の拠点はなかった。半年前に「震災10年」での新設を目標に掲げた島九段と東北出身棋士の幹事が様々な折衝をクリアして「東北研修会」の実現にこぎ着けた。

 震災直後の避難所での指導に始まり、2013年の岩手県宮古市での名人戦実施など被災地での復興支援活動、普及に尽力してきた島九段は「10年、いろんなことがありました。東北は自分の好きな地域なので、震災10年でコロナ禍の今だからこそやりたかったんです。でも、自分はきっかけを作ったに過ぎません。東北出身の棋士の皆さんが動いて下さいました」と語る。幹事を務める仙台市出身の中川大輔八段(52)は「藤井二冠は大天才ですけど、東海研修会で学んで花を咲かせたことは間違いない。東北にもたくさんの芽があるので、大切に育てていきたいですし、傷跡の残る場所で育った子供たちの夢を後押ししたいです」と熱意を語った。研修会での活躍は奨励会編入、女流棋士資格獲得につながる。空前の将棋ブームが続く中、藤井二冠を追う存在や未来の女流名人が誕生すれば、東北地方全体の活性化にもなる。

 将棋駒の産地である山形県天童市出身初の棋士を目指す小学3年・安達龍正君(9)は「良い経験になりました。藤井聡太さんみたいに棋士になってタイトルを取りたいです」と誓う。唯一の女子参加者だった福島市の小学2年・高橋一花さん(8)は「将棋は毎日しています。女流棋士よりも棋士になりたいです」と夢を語った。

 将棋で言えばまだ初手も指していない東北研修会だが、34人が集まった現場は高揚感に満ちていた。子供たちが夢中になって将棋を指す光景を見渡した島九段は「遅くなっちゃいましたけど、ようやく10年後に間に合いましたね。老後の楽しみができましたよ」と頬を緩ませていた。

 ◆研修会 棋士養成機関「奨励会」の下部組織と女流棋士養成機関を兼ねる。対象は20歳以下のアマチュア有段者(性別問わず)と女流棋士を目指す25歳以下のアマチュア女性。規定の成績を残して昇級すると奨励会編入資格や女流棋士資格を得る。関東(東京・1983年設立)、関西(大阪・84年)、東海(名古屋・99年)、九州(福岡・2016年)、北海道(札幌・20年)に続いて、東北は6か所目。全国に計約300人の研修生がいる。

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