◆明治安田生命J1リーグ ▽第1節 鹿島1―3清水(27日・カシマ)
清水エスパルスが開幕戦で昨季5位の鹿島に3―1で逆転勝利した。後半30分に1点先制された直後の同33分、FWチアゴサンタナ(28)が同点ゴール。同38分には途中出場のFW後藤優介(27)が勝ち越しヘッドを決めた。同43分にはオウンゴールで「新生エスパルス」が快勝。開幕戦の勝利は、鹿島に15年3月8日(3〇1・アイスタ)に勝って以来、6年ぶりとなった。
敵地のカシマスタジアムの雰囲気にも「新生エスパルス」は全く動じなかった。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、清水イレブンは抱き合って喜び、渾身(こんしん)のガッツポーズ。難敵・鹿島から3点を決め、開幕戦6年ぶり勝利、リーグ戦の対鹿島は10戦ぶりの勝利となった。カシマスタジアムでのリーグ戦逆転勝利は初めてだ。
前半は0―0。迎えた後半30分に鹿島に先制を許すも、3分後に途中出場のMF河井陽介(31)が敵陣左サイドから上げたクロスのこぼれ球を、Jリーグデビュー戦となったFWチアゴサンタナが冷静にためを作り左足で同点シュート。「ハーフタイムで修正点を確認し、我々のやるべき事をやった結果が同点、逆転につながった」という清水待望の今季1号は、自身Jリーグ1号。鹿島サポーターで大半が埋め尽くされた9312人のスタンドを一瞬で凍り付かせた。
攻撃の手を全く緩めずに後半38分、FWカルリーニョスジュニオ(26)からのクロスを「ここにボールが来てくれという気持ちで中央に入っていった」と途中出場のFW後藤が頭で合わせて勝ち越しゴール。「練習からやってきた事を出せた」と、ゴール後はイレブンが後藤に抱きつき祝福。「なかなか昨年は決められなかったので、みんなで喜べて良かった」と昨シーズン1点しか取れなかった男が、開幕戦で大仕事を成し遂げた。
練習後のオンライン会見などでは「本当に雰囲気が良いです」とたびたび選手が口にする。それを象徴するシーンが後半43分のオウンゴール直後に起こった。河井からのクロスをニアサイドのMF原輝綺(22)が反応するも触れられずにそのままゴール。しかし仲間は原のゴールと勘違いして、サイドラインで控え選手も含め「ゆりかごダンス」。21日に男児が誕生した原への祝福だ。このチームワークこそが、貴重な勝ち点3をもたらした。
初采配のロティーナ監督は「個人個人のパフォーマンスが光った」と選手をたたえた。ルヴァンカップの広島戦(3月3日)をはさみ、次節はホームで福岡戦(3月6日)。最高のスタートを切ったエスパルス。このまま上位進出へ一気に突き進む。(森 智宏)