【中村憲剛の語】評論家デビューきょうJ1開幕「川崎・大島、田中の正確トラップに注目」

20日に行われたゼロックス杯で解説を務めた中村憲剛氏
20日に行われたゼロックス杯で解説を務めた中村憲剛氏

 明治安田生命J1リーグは26日、川崎―横浜M戦で開幕を迎える。両チームは25日、それぞれ最終調整を行った。昨季限りで現役を引退した元日本代表MF中村憲剛氏(40)が、スポーツ報知で評論活動をスタート。初回のテーマは今季のJ1展望で、注目クラブには古巣の王者・川崎のほか、鹿島、G大阪、浦和、清水などを挙げた。

 スポーツ報知で評論をすることになりました中村憲剛です。コロナ禍で自由にサッカーを見に行かれない未曽有の時期だからこそ、スポーツ、サッカーの素晴らしさ、楽しさを今までとは違った立場からお伝えしたいと思っています。今後ともよろしくお願いします。初回はJ1展望と、個人的に注目してほしいポイントを挙げます。

 今季は史上最多の20クラブが参戦し、最多の4クラブがJ2に降格する。よりマネジメント力が問われるシーズンになる。選手との意思疎通が少し乱れただけで負けにつながり、勝ち点を失う。些細(ささい)なことで揺れるのがチームで、流れを失えばあっという間に4枠に入ってしまう。また、昨季の交代5枠を活用し、選手育成・戦術浸透の上積みができたのか。昨季からのマネジメントを含めて、今年結果に表れてくると思う。

 鹿島は上積みを図れたチームの一つ。昨年はザーゴ監督と鹿島のサッカーの融合に時間がかかったが、着地点を見つけた終盤にかけてはFWエベラウド、上田がフィットして結果がついてきた。序盤からリーグ戦を引っ張る存在になっても不思議ではない。G大阪は、ピッチの指揮官であるヤットさん(MF遠藤)が移籍し、より全員で戦うコレクティブなチームに移行してきている。元来の堅守に、新助っ人が融合したら上位争いに加わりそうだ。

 個人的には新監督を迎えた浦和と清水が興味深い。現役時代、やりにくいと感じた相手は一体感のあるチームだった。ここで言う一体感とは、監督が明確な指針を打ち出し、同じ方向を見て一丸となって最後まで諦めずに戦うことである。その点で浦和のロドリゲス監督はこだわりを持っている。相手を見て、ポジションを動かしながらビルドアップする。ポゼッションを重視し、攻撃的。徳島をJ1に引き上げた実績がある。

 一方、清水のロティーナ監督は、攻守でポジショニングをあまり動かさないので大崩れしにくいスタイル。守備がベースとなる戦術でC大阪の上位進出を支えた。2人に共通するのは「明確なスタイル」「自信」「実績」の3つ。もともとタレントがそろう浦和は新しいスタイルを築くチャンスで、大量補強した清水も土台を構築するには絶好の監督といえる。序盤に結果がついてくれば面白い。

 フロンターレは、今年も中心的な存在に。中でも昨季の優勝を支えた大島、田中のトラップに注目してほしい。正確なトラップは、ボールを見る時間を減らし、相手を見る時間を生む。相手を見る時間が増えれば守備の狙いをかわしながらプレーすることを可能にし、ゲームを動かすパスにつながる。自分の中で「止まる」とは、ボールがピタッと止まり、次のプレーに早くつながること。ミクロなところにサッカーの醍醐(だいご)味が詰まっていることを感じられると、よりサッカーが楽しく見られる。(元日本代表、川崎MF)

 ◆コロナ禍でのJリーグ

 ▼交代最大5人 過密日程を考慮し、昨季の交代枠5を継続。交代回数はハーフタイムを除き、両チーム3回まで。

 ▼飲水タイム 新型コロナ感染予防のためボトルの共有は不可で、前後半に1回ずつ飲水タイムを設ける。今季から、両チームが合意すれば設けないことも可能。

 ▼脳しんとう 脳しんとうによる交代は1回可能。

 ◆中村 憲剛(なかむら・けんご)1980年10月31日、東京・小平市生まれ。40歳。小学1年から府中市の府ロク少年団でサッカーを始める。都久留米高(現・東久留米総合高)から中大に進学。2003年に川崎加入。06年10月4日のガーナ戦で日本代表デビュー。10年南アフリカW杯日本代表。国際Aマッチ通算68試合6得点。175センチ、66キロ。

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