ランディ・バースの強みと弱点…阪神入団60年・安藤統男の球界見聞録<5>

オールスター戦で本塁打を放ったランディ・バース(1987年7月28日・甲子園球場)
オールスター戦で本塁打を放ったランディ・バース(1987年7月28日・甲子園球場)

 1981年のオフ。監督に就任した私は「俊足・好打」が触れ込みのキム・アレンと、守備の評価が高かったグレッグ・ジョンストンの2人の外国人選手を獲得しました。しかし、2人とも思ったような成績が挙げられませんでした。

 そこで82年のオフの外国人選手のターゲットを「機動力野球に合う選手」から「長打を打てる選手」に変えました。目を付けたのがランディ・バース(レンジャーズ)です。調査の際にお世話になったエクスポズ(現ナショナルズ)で監督もしたジム・ファニングスさんによると、バースは観察力に優れ、相手投手のことをよく研究する選手とのことでした。「相手を知れば知るほど力を出すから、1年目より2年目の方が成績がよくなる。1年目で判断したらダメだよ。長いこと置いた方がいい」と教えてくれました。

 バースの守りをファニングスさんは「捕れる範囲の球は確実に取る。100%だ」と評価していました。外国人の中には守備に不安を抱えている選手が多いので、まずはひと安心です。「でもね…」。ファニンググスさんは苦笑しながら、付け加えました。「守備範囲は左右60センチだけど」。

 少年時代のケガで全力疾走が出来ないのも気になりました。「バースが二塁にいる時、1点を取るにはオーバーフェンスが必要だ」とジョークで言われました。試合になると、相手の守備位置や捕球体勢を見て先の塁を取ったりしましたから、不安は払拭されましたが。

 さて、バッティングです。「ロサンゼルスでホームランを打ったら、ニューヨークまで届くよ」とファニングスさんが表現した通り、パワーは本物でした。

 話は変わりますが、実はバースを取る前年、ベネズエラでウインターリーグを視察した時、1人の右打者が目に留まりました。グレゴリー・ウェルズ(ツインズ)という右打者です。バースを取りに行った82年、藤江清志編成部長は「バースもウェルズも両方取れる」と言っていました。しかし、ネックになったのは2人とも一塁しか守れないことでした。結局、左打者が少なかったチーム事情もあり、私はバースの方を選びました。グレゴリー・ウェルズ。後に阪急で三冠王も取ったブーマーです。2人のうちどちらかが外野を守れ、2人とも阪神に入っていたら…。どんなすごい打線になっていたでしょうね。

 最も期待していたバースのバッティングのすごさ。これについては次回に触れることにしましょう。(スポーツ報知評論家)

 ◆安藤 統男(本名は統夫)(あんどう・もとお)1939年4月8日、兵庫県西宮市生まれ。81歳。父・俊造さんの実家がある茨城県土浦市で学生時代を送り、土浦一高3年夏には甲子園大会出場。慶大では1年春からレギュラー、4年時には主将を務めた。62年に阪神に入団。俊足、巧打の頭脳的プレーヤーとして活躍。70年にはセ・リーグ打率2位の好成績を残しベストナインに輝いた。73年に主将を務めたのを最後に現役を引退。翌年から守備、走塁コーチ、2軍監督などを歴任した後、82年から3年間、1軍監督を務めた。2年間評論家生活の後、87年から3年間はヤクルト・関根潤三監督の元で作戦コーチを務めた。その後、現在に至るまでスポーツ報知評論家。

 ※毎月1・15日正午に更新。次回は3月15日正午配信予定。「安藤統男の球界見聞録」で検索。

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