花の命は短くて…笹川友里アナに近江友里恵アナ、この春続出の女子アナ退社劇の裏側

今月いっぱいでTBSを退社する笹川友里アナウンサー。第1子出産後、昨年10月に仕事復帰したばかりだった
今月いっぱいでTBSを退社する笹川友里アナウンサー。第1子出産後、昨年10月に仕事復帰したばかりだった
3月いっぱいで退職するNHKの近江友里恵アナウンサー
3月いっぱいで退職するNHKの近江友里恵アナウンサー

 春は別れと新たな旅立ちの季節。例年以上に各テレビ局の女性アナウンサーたちの退社が目立っている。

 今月いっぱいでTBSを退社するのが、笹川友里アナ(30)。日本女子大卒業後の2013年、TBSに入社して制作局に配属。「美人すぎるAD」と話題となり、14年4月にはアナウンス部に異動。17年12月にフェンシングの元日本代表で北京、ロンドン五輪銀メダリストの太田雄貴氏(35)と結婚。18年6月に第1子を出産し、昨年10月に仕事復帰したばかりだった。

 2月7日に自身のインスタグラムを更新した同アナは「8年間の会社員生活で築けた沢山の思い出と経験と一生物の仲間を大切にしながら今後も前向きに人生を歩んでいこうと思います」とつづった上で24日には同局ラジオの「赤江珠緒 たまむすび」に生出演した。

 「自分の中で会社員でなくなるのはとても大きくて…。毎日、これだけ働いていた会社に来なくなるのは大きいんですけど、3月からも月に3回くらいは収録で来るので、それが自分の中で安心材料になっています」と退社後も同局のレギュラー番組2本に継続出演することを明かした上で「今より夫と娘に使う時間を増やしたり、子育て、家庭も大切にしつつ、仕事は続けていこうと思っています」と続けた。

 同局では、1月にも伊東楓アナ(27)が絵本作家転身のため、今月末での退社をラジオ番組で発表。「絵本作家になりたいと思って。3月19日には本が出ることになりました」と報告した上で「これが第一歩でして。自分の表現力を上げるために今年はドイツに行こうと思います。つまり、2月末でTBSを退社することになりました」とした。

 放送後には自身のインスタグラムで本の出版を告知するとともに「自分の表現力をより高めるために ここでは手に入らないものを手に入れたくて今年から、ドイツに住むことを決めました。1年間秘めてきた想いを皆様にようやく打ち明けることができ、ホッとしています」と明かした。

 NHKでも「あさイチ」(月~金曜・午前8時15分)のメインキャスターを務めてきた近江友里恵アナ(32)が3月末で退職する。近江アナは12年に入局。16年4月から桑子真帆アナ(33)の後任として「ブラタモリ」のアシスタントを務め、人気者となっていた。

 元TBSのフリーアナ、女優の田中みな実(34)は3月末で古巣・TBS系の2つのレギュラー番組「ジョブチューン~アノ職業のヒミツぶっちゃけます!」と「有吉ジャポン2 ジロジロ有吉」を卒業。「ジョブチューン」は山本里菜アナ(26)、「ジロジロ有吉」は近藤夏子アナ(24)が後任となることが発表されたが、両番組とも田中が局アナ時代の番組スタート時から携わり、フリー転身後も継続出演してきたもの。「それぞれ8年以上やらせていただきました。スタッフとの絶対的な信頼関係の中で大変心地よく仕事をすることができました」と感慨深げに振り返った。今後は女優業に重きを置くと見られる。

 元日本テレビのフリーアナ・上田まりえ(34)も19年4月からパーソナリティーを務めてきた文化放送の朝の帯番組「なな→きゅう」を3月26日で卒業する。1月の生放送での「絶対、泣かないと決めていたんですけど。本当に急だったんです」という涙の番組終了報告が話題となった。降板の一方で同局の斉藤清人社長(56)は16日の会見で上田を「同性にも好かれる魅力的なパーソナリティー」と評価した上で新番組への起用を検討することを明かしている。

 ざっと挙げただけでも、これだけの人気者たちが人生の岐路を迎える。そんな“春の別れ”を思った時、私の記憶は2年前の民放各局の社長会見の場にフラッシュバックしていた。

 当時も民放各局は今年以上の人気アナ退社ラッシュに見舞われていた。TBSでは、吉田明世アナ(32)の1月末での退社に続き、宇垣美里アナ(29)も3月末で退社。ともにフリーとして、吉田アナは大手芸能プロダクション・アミューズと契約。宇垣アナもオスカープロモーション入りした。吉田アナは在籍8年、宇垣アナは5年での早期退社だった。

 テレビ朝日では「羽鳥慎一モーニングショー」で朝の顔を務めるなど、エース級の活躍をしてきた宇賀なつみアナ(34)が3月末で退社し、フリー転身。18年9月まで看板番組「報道ステーション」のサブキャスターを務めていた小川彩佳アナ(36)も3月いっぱいで退社。3か月後の6月にはライバル局・TBSの「NEWS23」のキャスターに就任して、世間をあっと言わせた。

 局の顔と言ってもいい人気アナの突然にも見える退社劇に私は各局の定例社長会見に出席しては、トップの思いを聞きまくった。

 TBSの佐々木卓社長(61)に「アナウンス技術、番組進行など、じっくり育成して、これからという時に退職されるのは、社長として辛くないのか」と質問すると、「フリーになっても、ぜひ頑張って欲しいなと本当に思っています。辞めるのは、もちろん寂しい気持ちはあるけれども、それより仲間がアナウンサーという仕事の幅を広げて戦っていくことを応援したいと思います」というさわやかな答えが返ってきた。

 それでも、一線アナが退職直後に大手事務所入り。同局時代に得た知名度を武器にタレント活動に乗り出すのを、正直、どう思っているのだろう。そんな疑問を持ったから、あえて、きつめに「これでは、TBSは、タレント養成所ではないか?」と聞くと、さすがに苦笑を浮かべた佐々木社長は「TBSがそうしたタレント養成所とは思っていないです。TBSの番組で良い放送を目指してやってきた仲間だと思っていますので、養成所を脱出して、すぐ外にいっちゃったという実感は正直、ありません」と答えたものだった。

 テレビ朝日の会見でも角南源五社長(当時)に「10年近くかけて報道番組も任せられる看板アナに育て挙げた人材が退社してしまうことに辛さは感じていないのか?」とストレートに聞いたが、返ってきたのは「それぞれ、アナウンサー独自の考えがありますので」という淡々とした答えだった。

 角南社長が「両アナとも今まで育んできた知見を元に今後は自らの力でキャリア・アップを図りたいという本人の希望がありました。局アナの立場を離れて、フリーアナウンサーとして活動すると言うこと。今後は新しい環境で、それぞれ頑張るのではないでしょうか」と答えた表情を今もくっきりと覚えている。

 各局トップたちの去りゆく女子アナたちへの言葉に感じたのは、あくまで去る者は追わず…。かと言って冷たく突き放すのではなく、かつての仲間として、心からのエールを送る“大人の対応”だった。

 しかし、新型コロナ禍の今、放送環境は激変している。人気タレントたちの出演本数も激変。高額ギャラの大物たちの降板、番組終了も相次ぐ中、約1000倍と言われるキー局のアナウンサー試験を突破した女子アナたちのフリー転身後も決して甘いものではない。

 昨年3月末をもってテレビ東京を退社した鷲見玲奈アナウンサー(30)こそ、“最強のフリーアナ事務所”と言われるセントフォース所属となり、バラエティー番組に引っ張りだことなっているが、これは希有な成功例。

 16年にフジテレビを退社もフリーとして鳴り物入りで古巣の夕方のニュース番組「Live News イット!」のキャスターに就任したカトパンこと加藤綾子アナ(35)も同時間帯のライバル番組に押され、低視聴率に苦しんでいる。

 小川アナも同様に視聴率競争のど真ん中で苦戦続きの上、プライベートでのスキャンダルにも見舞われた。吉田、宇垣の両アナもフリー転身後、期待通りの活躍をしているとは言いがたい。

 そう、局内での同僚との生存競争や生え抜きよりタレントやフリーを重用する局幹部への不満などはあっても、局アナでいる限りはサラリーマンとして安定した生活が保障される。一方でフリーはあくまで個人の魅力と能力勝負。コロナ禍で広告収入激減の各キー局も今後、高額ギャラのフリーアナ、タレントより一会社員である局アナの起用にシフトするのは必然。すでに4月改編でのそうした動きも目立ってきている。

 それでも、女性アナたちは苛烈な入社試験を突破した自分への自信と共演したタレント、文化人とのつながり、家族の支えを糧にこの春、新たな一歩を踏み出していく。

 フリー転身、絵本作家への道、子育て専念―。勇気を持って、その道を選んだ彼女たちの健闘をひたすら祈る―。一サラリーマンに過ぎない私にできるのは、ただそれだけだ。(記者コラム・中村 健吾)

今月いっぱいでTBSを退社する笹川友里アナウンサー。第1子出産後、昨年10月に仕事復帰したばかりだった
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