【浦和】MF小泉佳穂にインタビュー 将棋は達人級 “棋士の精神”で自身初のJ1に挑む

スポーツ報知
浦和MF小泉佳穂

 J2琉球から新加入した浦和のMF小泉佳穂(24)がこのほど、スポーツ報知のインタビューに応じ、サッカー以外の意外な特技である「将棋」について語り尽くした。金髪がトレードマークの小泉は、約3年前から始めた将棋の腕前が“達人級”。サッカーとの共通点を見いだし、冷静沈着な「棋士の精神」で自身初のJ1に挑む。

 ―小泉選手は将棋の“達人”だとチーム内で話題になっていると聞きました。沖縄キャンプ中も合間の時間は没頭していたとか。始めた時期やキッカケは?

 「3年前、青学大3年の2月頃にニコニコ動画で将棋の対局を中継で見たら、めちゃくちゃおもしろかったんです。プロの棋士の解説がすごいおもしろくて、天才の人たちしかいない世界に感動しました。僕自身がフィジカルに秀でていないので、頭を使ってサッカーをしてきたし、将棋から得るものはあると思って始めたんです。半年くらいは見るのが好きだったけど、大学4年の6月頃に本格的に始めました」

 ―スマホゲーム「将棋ウォーズ」ですね。

 「僕はもともとインドア派でゲームが好きで、対戦型より頭脳系のゲームが好きなんです。小学生の時、(人気漫画)『NARUTO ―ナルト―』に登場する将棋が強いキャラ・奈良シカマルが好きで、駒の動かし方を覚えました。感化されやすいんです(笑い)」

 ―ゲームはどれくらいやっているんですか?

 「2年前、琉球に加入した頃に始めました。今は…233勝210敗(今月14日時点)で、段位は1級です。無料版は一日3局しかできないのでジワジワ成績を上げて、初段の人に運良く勝てたんです。今年から浦和レッズに移籍できて給料が増えたので、課金して対局数を無制限にしました(笑い)。多い時で1日7~8局、1時間は余裕でやっちゃいますね」

 ―将棋とサッカー。戦術や考え方など通ずるものはありますか?

 「1つの局面で人数が多い方が勝つ。内容はどうであれ、最後に点を取る、詰む詰まないのところで勝負が決まるのが似てます。ずっと優勢で進めてても最後に詰み逃したら負ける。真剣勝負ゆえのシビアなところは共通してますね」

 ―将棋盤を上から全体を見るのは、ピッチを俯瞰(ふかん)して見る視点とも似ているのでは。

 「将棋は完全に俯瞰ですね。サッカーも近くて、見なくても空間で認知するというか、人の位置はだいたい居場所が分かります。そこをもっと意識して、(味方と相手の配置など)情報を事前に入れておけば見続けなくても位置は分かるでしょうね。あと、将棋はハジ(両サイド)をあまり使わずに終わることもあるけど、最近のサッカーはサイドバックが肝になる。おもしろいですよね」

 ―冷静かつ大胆に状況判断をして将棋を指す棋士の精神に通じますね。浦和の戦術で実際に感じることは?

 「リカルド(ロドリゲス)監督のサッカーは『自分たちがこうしたら、敵がこうくるからこうなる』と机上(戦術ボード)で考えるのを突き詰めていくと、けっこうその通りになるんです。サッカーも中途半端に机上でやると空論になるけど、突き詰めて細かいところまでやると、味方の立ち位置や敵が来たらこうなるとか、将棋と通じるところがあります」

 ―好きな棋士は?

 「棋士の方の将棋への向き合い方が好きで、たくさん学んでます。最初は羽生善治さんの本を読みあさりました。すごすぎて、本当に天才だなと。羽生さんは、感情に左右されずに淡々と指していく。(透き通った心境を表す)『玲瓏』という言葉を使っていて、静かな落ち着いた気持ちでいることが大事。僕は感情のコントロールが下手で、感情の波がプレーに直結しちゃうタイプなので参考にしてます」

 ―羽生さんから学ぶことは多いんですね。

 「好きな棋士はいっぱいいます。渡辺明さん、木村一基さん…みんなかっこいいですよね。渡辺さんはサッカー好きで、シメオネ(元アルゼンチン代表、現アトレチコ・マドリード監督)が好きだそうです。僕もアトレチコのサッカーが好きなので、いつか対談してみたいですね」

 ―ちなみに、好きな駒は何ですか?

 「もちろん飛車は好きですけど、王道すぎますよね…。僕は桂馬で! 自分のプレースタイルは、飛車や角のようなダイナミックな感じより、桂馬のようにちょっとトリッキーな感じなので選びました」

 ―将棋のごとく、ピッチを俯瞰的にとらえる視点のプレーが光ります。主にトップ下で巧みなパスや的確なポジショニングが持ち味で、昨年J2でブレイクしました。自身のベストプレーは?

 「去年のアウェー松本戦(9月23日、6〇1)です。後方からのパスを真ん中で受けて、ターンで一回転して相手を1人はがして、逆サイドのフリーの選手ではなく阿部(拓馬)さんに縦パスを出してゴールをアシストしました。自分の得意なことが全てピッチで出せて、手応えがすごくあったプレーでした」

 ―プロ2年目で38試合6得点と活躍。浦和から熱烈オファーを受けました。

 「僕はネガティブで、自分を過大評価も過小評価もしてないです。素直にうれしかったけど、できたことよりできなかったことを鮮明に覚えてる。オファーをもらってチャレンジしたい気持ちあったけど、今のままだと上のカテゴリーで活躍できないという思いもありました。(J1で通用する)手応えより、もっと成長しなきゃいけないという危機感が大きかったです」

 ―元日本代表のMF小野伸二選手(現札幌)と琉球でともにプレー。小野選手が浦和時代につけた背番号18を継承しました。

 「18番は光栄です。伸二さんは練習からとにかくうまい選手で、1年半一緒にやってすごく勉強になりました。『おまえはうまいから、自信を持て』『自信を持ってどんどんシュートを打て』といつも言ってくれて、自分に確固たる自信はなかった中で成長につながる言葉でした」

 ―1~2月の沖縄キャンプでは今季初の対外試合・沖縄SV戦(2〇0)でチーム1号を決めました。中学時代に下部組織でプレーしたF東京とのリーグ開幕戦(27日、埼玉)でJ1デビューにも期待がかかります。

 「DF渡辺剛とは(F東京の)アカデミーで一緒にやって、(山形から新加入した)MF渡邊凌磨は前橋育英高の同級生。絶対に負けたくないという強い気持ちはあります。個人的には、ゴールに直結するプレーをしたい。常に良い準備をして、ピッチで期待に応えられるプレーを見せられるように頑張ります」

 ◆小泉 佳穂(こいずみ・よしお)1996年10月5日、東京都出身。24歳。6歳でサッカーを始める。F東京U―15むさしではMF坂元達裕(現C大阪)らとプレー。前橋育英高では3年生だった2014年度に全国高校選手権で準優勝。青学大を経て、19年にJ2琉球へ加入。今季から浦和に完全移籍。J2通算50試合6得点。家族は両親と兄、妹、利き足は両足。好きなアーティストはMr.Children、BUMP OF CHICKEN。172センチ、63キロ。

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