横浜Mは20日、練習試合(相手、会場ともに完全非公表)を行い、4―1と勝利を収め、10日間の2次キャンプを打ち上げた。
例年と異なるキャンプを無事に終えた。一般非公開となり、ドクターと相談の上選手スタッフは不織布マスクの使用を徹底。ホテルでは棟を貸し切り、一般客と交わらない動線を設定。宿泊についても今年は1人1部屋を用意し、ホテル内のジムや大浴場は原則使用禁止だった。食事は小さなテーブルでアクリル板をはさみながら飛沫を飛ばさない配慮。スタッフがキャンプ先での施設関係者とも密に連係を取り、感染対策を講じてきた。
制限下でも、選手たちは充実の汗を流した模様。大分から加入したDF岩田智輝は「環境が素晴らしすぎて、本当にびっくりした」と目を輝かせた。DF伊藤槙人も「チームメートと普段よりも長くいることでコミュニケーションがよく取れる。2部練習で(プレーの)修正もすぐできる」。コロナ禍の厳しい状況にも、改めてキャンプを行う意義の大きさを感じていた。
プレシーズンマッチを白星で締めくくり、着々と開幕へのボルテージを高めている。石垣キャンプ序盤でけがに見舞われたMF喜田拓也、13日の練習試合で負傷交代した新加入ブラジル人FWエウベルは開幕に間に合わない見込み。FWマルコスジュニオールも15日の練習中にけがをしており、間に合うかは微妙だが、ポステコグルー監督は決して揺らがない。「全体的に上がってる」と19日のオンライン取材ではチーム状況に一定の手応えも示した。
指揮官が常々口にするのは「タイトなスケジュールをこなすシーズンの中、いつ誰がけがをするかわからない。いかに柔軟性を持ってできるか」。1月末に始まった石垣キャンプから、1か月弱という期間をかけてじっくり試行錯誤を重ねてきた。昨季とは違った3バックにも挑戦。キャンプ中も、メンバーやポジションに細かく変化をもたらしながらトレーニングする様子が多く見られた。
どのポジション争いも当然し烈だが、開幕戦で注目がいくのは左FWに入る選手。当初先発濃厚とされたエウベルがいないことで、練習試合でも存在感を放っている興国高卒の新星MF樺山諒乃介にも一気に可能性が出てきた。他選手のコンバートもおおいに考えられ、早くも「柔軟性」を見せるべきときが訪れている。
昨年とは違った緊張感もある。今シーズンは4チームが降格する異例のレギュレーション。確実に勝ち点を奪おうと、戦い方を変えてくるチームも増えることが予想される。指揮官は「1試合1試合が本当に大事で、競争」と一層気を引き締めた。開幕戦の相手はこの日行われた富士ゼロックス・スーパー杯でも1勝をつかみ、勢いづく川崎。総力戦で立ち向かい、タイトル奪還に向けたスタートダッシュを切る。