東北大硬式野球部100周年「記念誌」発刊…蛭間豊章記者が野球史をひもとく

スポーツ報知
1950年代後半の評定河原球場。巨人・川上哲治もここでプレーしたことがある

 仙台六大学リーグに所属する東北大の硬式野球部の歴史は古く、2020年に創部100周年を迎えた。このほど「記念誌」が発刊された。スポーツ報知の蛭間豊章記者が、同大学の野球史をひもといた。

 東北地方の野球の「出発点」は旧制二高(仙台)で1893年創部。それから27年後の1920年、二高の選手が東北帝国大(現在の東北大)に多数入学したのをきっかけに学友会が発足し、傘下の運動部として野球部が誕生した。

 戦前の帝国大は9校(京城、台北含む)あった。うち東北、東京、京都、九州の4校参加による大会が1928~34年に甲子園で行われていた。また二高、東北学院大、仙台高工との在仙大学高専4校リーグ戦も行われていた。

 37年には、大学の有志や旧制二高の野球部員らの勤労奉仕もあって、野球場や陸上競技場が完成。これが仙台市内にあり、現在も使用されている評定河原(ひょうじょうがわら)球場だ。江戸時代、仙台藩の評定所が近くにあったとされる。48年には球場改修記念試合として巨人・金星戦が行われ、川上哲治がプロ野球史上初の1イニング2本塁打を記録した球場として名前を残している。

 戦後は東北の大学野球をリード。全日本大学野球選手権には56~63年に5度出場した。70年からは地元の大学が集まって仙台六大学野球リーグが始まり同大学も参加。当初は東北学院大が黄金期を享受していたが、79年以降は、野球部を強化した東北福祉大が隆盛だ。

 記念誌は野球部で躍動した方々の寄稿も多く、当時の練習風景や思い出が面白い。中でも85年卒・小野秀明さんが記録した「64試合連続完投」には驚かされた。2年生春から4年生秋の記録でイニング数だと566回にもなる。当時「杜の都で黙々と投げ続ける鉄腕」としてNHKの夜9時台の全国ニュースで報じられ、日テレで「朝練」の様子が生中継されるほどのフィーバーだったという。

 東北大の硬式野球部は、元東北電力副社長の木下藤次郎さんを始め実業界に多くの人材を出しているものの、卒業生にプロ野球選手はいない。ただ55年卒のエースだった渋沢良一さんは、読売新聞社運動部を経て83年、セ・リーグ事務局長に就任。危険球問題などに尽力した。渋沢さんが、この記念誌を見ずに昨年3月に死去されたのは残念だ。

 ◆東北大硬式野球部「創部100周年記念誌」 問い合わせは同部(tohokubbt@gmail.com)にメールで。

野球

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請