NHK大河「青天を衝け」好発進の要因 「麒麟がくる」との橋渡し役の徳川家康、憑依型俳優の草ナギ剛、イケメン集結

NHK大河「青天を衝け」で徳川家康を演じる北大路欣也
NHK大河「青天を衝け」で徳川家康を演じる北大路欣也

 俳優・吉沢亮主演のNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」(日曜・午後8時)が14日スタートし、初回の世帯平均視聴率が関東地区で20・0%を記録した。(数字はビデオリサーチ調べ)。前作「麒麟がくる」の初回19・1%を上回り、13年「八重の桜」の21・4%以来8作ぶりの大台発進となった。

 大河には「近現代史は当たらない」というジンクスがある。1964年の東京五輪をモチーフにした「いだてん」(19年放送)が、大河初の1ケタ台となる全話平均視聴率8・2%を記録したことは記憶に新しい。本作の主人公・渋沢栄一は新1万円札の“顔”といえども一般的に馴染み薄く、高視聴率を期待するのは「厳しいのではないか」との見方も多かった。だがフタを開けてみれば、下馬評を覆す幕開けとなった。

 初回放送で驚かされたのは、異例ともいえる冒頭の演出だ。拍子木を打ち鳴らす音とともに、いきなり俳優の北大路欣也扮する徳川家康が登場。「こんばんは、徳川家康です。今日はまず日本の歴史です」

 ヤマト政権に始まり、徳川のルーツとなる武士の誕生、江戸幕府成立まで手短に語り、「私が生まれた頃には鉄砲も伝来。私も使いましたよ、信長様に勧められて。そしてそんな戦ばかりの世をどうにか統一したのが、この私です」と約260年間の平和の礎を築いたことに胸を張った。そして画面上に現れた年表を開きながら、歴史の流れを解説。年表には「一五八二年 本能寺の変」とも記されていた。

 2分程度のさりげない場面だったが、ユーモアを交え、近現代史に関心の薄い視聴者にとっても親切な導入だった。加えて「信長」「本能寺」「家康」のキーワードを打ち出すことで、戦国時代を描いた「麒麟―」を想起した視聴者も多かったのではないか。

 多くの大河ファンに支持された「麒麟―」の最終回では、長谷川博己扮する主人公・明智光秀が「本能寺の変」を起こす直前に、戦なき平和な世を願い徳川家康に文書を託したシーンが印象的に描かれた。“麒麟”は家康だったともとれる演出がなされたのだ。

 「麒麟―」はコロナ禍により異例の年またぎ放送となった。最終回平均視聴率は初回に次ぐ18・4%を記録。“麒麟ロス”現象を巻き起こした。その興奮冷めやらぬ中、「青天―」は翌週スタートを余儀なくされた。そうした状況下で、ストーリー上では必要性の低いとみられる家康が“初陣”に登場。それはあたかも「麒麟―」との橋渡し役のように見えた。この演出は「麒麟―」ファンも歓迎したことだろう。

 その直後のシーンでは、渋沢と元SMAPの俳優・草ナギ剛演じる江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜との出会いが描かれた。これも4分ほどの短いシーンだったが、将軍の威厳をまとった草ナギの風貌、声色に思わず釘付けになった。アイドルである一方、俳優として歩みを重ねた年輪を感じさせた。ネット上でも「草ナギさんのオーラと存在感っ!」「草ナギ慶喜が今後どうなっていくか楽しみ」などと期待する声が相次いだ。

 草ナギはこれまで映画「黄泉がえり」、ドラマ「任侠ヘルパー」など数多くの作品で主演を務め、その演技力には定評がある。昨年公開の映画「ミッドナイトスワン」ではトランスジェンダーという難役を演じ切り、評価を高めた。本作でも“憑依型俳優”の本領をいかんなく発揮してくれそうだ。

 慶喜と対峙した渋沢演じる吉沢も、大河初出演と感じさせない堂々たる演技を見せた。朝ドラ「なつぞら」(19年放送)では広瀬すず扮するヒロイン・なつの初恋の人で幼馴染を演じ注目を集めたが、まだ主演作は多くない。このまま上昇気流に乗れば、「青天―」が吉沢の代表作になるかもしれない。

 その吉沢をはじめ、イケメン俳優が集結した。渋沢のいとこの喜作役に高良健吾、新撰組副長・土方歳三役に町田啓太、渋沢に影響を与える砲術家・高島秋帆役に玉木宏。さらに、玉木と朝ドラ「あさが来た」(15年放送)で共演したディーン・フジオカが、朝ドラと同じ実業家・五代才助(友厚)役で出演する。「五代さま」として親しまれ「五代ロス」という言葉が生まれるほどにブレイクしたディーンが再び世を席巻する姿が目に浮かぶ。

 かつてキー局のあるプロデューサーからこんな話を聞いたことがある。「連続ドラマは初回で決まると言っても過言ではない。そこで世間の関心を引くことができなければ、見限られてしまう。“つかみ”がとても重要なんです」。1年がかりの大河とあれば、なおさらだ。複数の要因が絡み合い、そのハードルを乗り越えた本作。“つかみ”はOKだ。今年も大河から目が離せない。

(記者コラム 江畑 康二郎)

コラムでHo!とは?
 スポーツ報知のwebサイト限定コラムです。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

芸能

宝塚歌劇特集
NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請