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斉藤由貴、35年経っても「やっぱり卒業はいい曲」嫌だったアイドル時代デビュー曲

スポーツ報知
デビュー記念日にアルバム「水響曲」を発売する斉藤由貴。「独特な、時代の美しさを感じてほしい」

 女優の斉藤由貴(54)が、デビュー記念日の21日に歌手デビュー35周年記念セルフカバーアルバム「水響曲」を発売する。1985年のデビュー曲「卒業」などで編曲を手がけた武部聡志氏(64)がサウンドプロデュースを担当。同曲など全10曲がリアレンジ収録される。斉藤がインタビューに応じ、今作や音楽活動の思いを語った。(加茂 伸太郎)

 透明感のある歌声は色あせない。当時と変わらない原曲キーでのレコーディングに、斉藤は「キーを下げると、歌の世界観そのものが変わってしまう。昔に比べれば、高音域は苦しくなっているけど、原曲で歌えているのはうれしいですね」と笑みがこぼれた。

 「卒業」から11作連続で編曲を手がけた武部氏が、ピアノを軸としたアコースティック編成でリアレンジ。同曲を始め、連ドラ初主演作「スケバン刑事」(85年)の主題歌「白い炎」や「初戀(こい)」「情熱」など全10曲が収録される。

 「包み隠さず、ありのままの斉藤由貴を届ける」がテーマ。余計な枝葉をそぎ落とし、必要な楽器だけを使ったシンプルなアレンジに。歌声の修正もあえてかけなかった。「オリジナル音源に比べたら(音程が)少し揺れていて、欠点も見えるボーカルだと思う。それでも成立するのは武部さんのアレンジ、音の運びが完璧だから。私というボーカルを乗せた船が堅牢(けんろう)だからですよ。武部さんいわく、私の歌唱は『究極の不安定。危うさに魅力があるんだ』と。褒め言葉として言って下さるんですが、ありがたいですね」

 楽器の音入れから立ち会い、綿密にスタッフと意見交換した。熱量を持って制作に取りかかったが、当初は「及び腰だった」という。「正直に申し上げると、35年に何かやることに対して気後れがあったんです。本当にいいの? 必要ある? 50を過ぎて、いい歳(とし)じゃねえかと(笑い)。ざっくばらんに言えば、商売にならないだろう。力を借りるばかりで、自己満足になったら嫌だという気持ちがありました」

 そんなモヤモヤを吹き飛ばしたのは一通のメール。「僕にできることがあれば何でもやる。どんなことでも助けになるから声を掛けてほしい。僕がやらずに誰がやる」。武部氏からの“激励”だった。斉藤は「何かしてあげたいと思って下さる熱い気持ちがうれしかった。音頭を取って、引っ張ってくれたことがすごく大きかったです」と感謝した。

 昨年10月に「卒業」(作詞・松本隆氏)を作曲した筒美京平さん(享年80)の訃報に接した。「松本さんの詞が素晴らしいし、筒美さんの独特な美しいメロディーがあるからこその世界観かなと思います。この曲をデビューにもらえたのは私にとって宝物です。やっぱり『卒業』っていい曲ですよね」

 同11月のコンサートでは、筒美さんが送った「なぜ」(94年)のデモテープ音源が26年ぶりに見つかり、公開された。同氏の妥協のない仕事ぶりに衝撃を受けた。「忙しくて売れまくっていた作曲家が(私なんかのために)緻密なデモ音源を作っていた。エンターテインメントの仕事って時々、雰囲気でやれちゃうような錯覚に陥ることがある。勘違いしちゃうんですよね。でも、先生はどこまでもプロフェッショナルだった。あの時の自分に見えなかった筒美さんの仕事論を感じられて、勉強になりました」

 女優として確固たる地位を築くが、デビュー時はアイドル歌手。「お仕着せの変なものを着せられたような居心地の悪さがあって、(当時は)嫌で嫌で仕方がなかった」と笑うが、気が付けば、音楽活動は不可欠なものになっていた。

 「『アイドル』という居心地の悪いくくりから離脱して、また始めた音楽活動。それがアイドル時代の懐古趣味や焼き直しではなく、今の自分を表現する手立てになった。形が何であれ、ここまで歌に関わって来られて幸せです」

 3月6日に大阪、同28日に横浜、4月2日に東京でビルボードライブを行い、楽曲たちを披露する。「思いを込めて誠実に作られた楽曲ばかり。新しいボーカル、アレンジを乗せても違う輝きを放ってくれる。試行錯誤してミックスダウン(最終作業)に到達したので、その過程を踏まえて聴いてほしい。踏むべき手順を踏んで、という満足感はあります。でも、下手ですけどね。ハハハハハハ」

 ◆斉藤 由貴(さいとう・ゆき)1966年9月10日、神奈川県出身。54歳。84年「ミスマガジン」でグランプリ。85年「雪の断章 情熱」で映画初主演。86年NHK連続テレビ小説「はね駒」ヒロイン。同年「青空のかけら」がオリコン週間シングルチャート1位。89年「夢の中へ」は主演ドラマ「湘南物語」主題歌で最大のヒット曲。161センチ。血液型B。

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