【プチ鹿島の本音】「社会への発信」で変わったもの変わらないもの

スポーツ報知
プチ鹿島

 先日、大分でトークライブをしました。ゲストは「スーパーボランティア」として知られる尾畠春夫さん。

 2018年に山口県で行方がわからなくなっていた子どもを救出してニュースになった方です。ボランティアのきっかけは40歳をすぎて始めた登山だという。勝手に山に登っているので少しでも綺麗(きれい)にしたいと思ったと。そのあと「困っている方にお手伝いしたい」「社会に恩返し」と行動が広がっていった。尾畠さんの言葉を聞いていると、ボランティア活動も「社会への発信」なのだと思った。

 この1週間、森喜朗氏の女性蔑視(べっし)発言をきっかけに東京五輪・パラリンピックのボランティア辞退が相次ぐと報じられた。ネガティブな話題だと思った人もいるかもしれない。しかし彼・彼女らの辞退という選択も「社会への発信」だと考えたらしっくりきたのです。

 というのも、森喜朗氏は辞任を表明したが直前まで「余人をもって代え難い」とスポーツ界や政界の人たちは言っていた。差別をなくそうと言っている五輪に性差別を公然と語る人物をトップに担ぎ続けようとしていたのだ。世界との恐るべきギャップ。

 そんな事態を少しずつ動かしたのがネットの抗議の声であり、ボランティア辞退という「発信」だったのではなかったか。意思を見せた。五輪スポンサー企業が声を上げ始めたのはそのあとだから、効果があったのだと思う。

 ただ、森会長は辞任しても周囲の価値観は変わっていないよう見える。自民党の二階幹事長はボランティア辞退に関して「落ち着けば考えが変わる」と言った。「また改めて新たな募集をする」とも。ボランティアを替えがきくものだと思っているのだろう。厚意を分かっていない。

 五輪トップを替えても変わらないものがダダ漏れ中です、世界に。(時事芸人)

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