【日本ハム】夢を現実にしようとする栗山監督の思考 ドラ1右腕・伊藤大海の二刀流について考えてみた

日本ハムの伊藤大海。打者や走者での起用は実現するのか
日本ハムの伊藤大海。打者や走者での起用は実現するのか

 日本ハムの栗山英樹監督(59)に話を聞いていた。キャンプ休日の10日。ドラフト1位右腕・伊藤大海投手(23)=苫小牧駒大=の二刀流の話題があがったところだった。「50メートル5秒8の俊足の右腕を、二刀流起用したらどうですか?」。打撃センスもあったとしても、実現は難しいか。「それはないだろ」と笑い飛ばされるかな。そう思いながら聞いた。

 返答はこうだった。「盗塁王取りながら投手やるとかそういう感じね。それがあるか~。ちょっと考えるよ。ありがとう」

 思わず、小学校時代の記憶がよみがえった。同級生たちと図書館でむさぼるように読んだ本。「空想科学読本」というシリーズは、アニメや漫画、特撮ヒーローといった非現実の世界を、大人が科学を用いて大まじめに検証する内容だった。「ドラえもん」のタケコプターで実際に空を飛ぶには…。「巨人の星」の星飛雄馬が消える魔球を実際に投げると…。好奇心がくすぐられつつも、最後は「やっぱり無理なんだ」という結論に達し、現実は甘くないんだと痛感させられた思い出がある。

 栗山監督の思考は、これに近いと最近思う。常識や固定概念。漫画のような、誰もが「無理だ」「出来ない」と思う夢のような話も、まず全力で考えてみる。「やる、やらないっていう材料としては全部(議論のテーブルに)並べておくべき。むちゃくちゃなことも。そうするとダメなもの、リスクがはっきりしてくるから。これをやるとこれがダメだな~、みたいなの出てくるじゃん」。

 伊藤の足を生かすには「代走からの抑え」が思いついたが、これは正直、故障のリスクが多い。代走起用から二盗を試みる場合、二塁にスライディングして足をひねる。けん制で帰塁する際に右手を突き指など。投手としてシーズンを棒に振りかねない。そもそも勝負のかかった場面で、盗塁というギャンブル性の高い作戦を二刀流の投手に任せるのは負担が大きすぎる。

 盗塁はしないとすれば、同点の9回表に二塁に代走のパターン。中前打で俊足を生かし勝ち越しの生還。でもその裏、マウンドに上がったら、全力疾走の後で肩で息をした右腕がめった打ちを食らうケースだって考えられる。これも厳しいか。

 だが、期待してしまう。例えば「代打・桑田」的な同点で延長に突入した際の「代打・伊藤」だったらどうだろう。無死一塁。十中八九、送りバント。それを阻止しようと一、三塁手は猛チャージ。そこを伊藤が鮮やかにバスターを決める。なんだか、いける気がする。一度決まれば、次回以降は逆にセーフティー気味のバントも有効かもしれない。

 大谷の二刀流や、今では各チームが当たり前に使うようになったショートスターター戦術を導入した栗山監督なら「もしかして」と思ってしまう。「俺のことだからいろんなこと考えるよ。やるかやらないかは別よ」と指揮官は真顔で言った。夢のような伊藤の二刀流。「ない」とは言い切れない。(日本ハム担当・秦 雄太郎)

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