【東日本大震災10年 語り継ぐ】竹内愛紗、心を癒やしたトロンボーン

スポーツ報知
竹内愛紗

 今年で発生から10年となる東日本大震災の経験や、未来への教訓を紹介する連載「語り継ぐ」(随時掲載)。第2回は、日本テレビ系「未満警察」などに出演した若手女優・竹内愛紗(19)だ。福島県いわき市出身で、小学3年生、9歳の時に被災した。津波と地震を経験し、トラウマを抱えたが、特技のトロンボーンで被災者の心を癒やしたことも。これまで語ってこなかった被災経験を明かした。(水野 佑紀)

 2011年3月11日午後2時46分、小学校のトイレにいた竹内は激しい揺れに襲われた。「トイレが終わって、服を上げた時に揺れ始めました。ドアを開けて、友達と2人でうずくまりました。逃げ遅れたので、靴も履かずに外へ泣きながら走りました」。外の景色は一変していた。体育館は崩れ、校庭には大きな地割れ。「のぞいたら奥が真っ暗。先生は『危ない、落ちたらもう取り戻せない』と」

 迎えに来た母、2歳上の兄とともに沿岸部に住む祖父母宅に急いだ。津波が膝まで迫っていた。「めちゃくちゃ怖かったです。車で聴いていたラジオは情報が追いつかなくて、『みなさんが元気になる曲を』って『Jupiter』が流れてました。曲はかっこいいけど、私とお兄ちゃんは車の中で待っていて、津波来てるしどうしようって」

 母は祖母を連れて車に戻ったが、地元への思いが強い祖父は自宅を守るため避難しなかった。苦しい思いを抱きながら、4人が乗る車は波をかき分けて高台に。「もう(後ろの光景は)振り返らないという感じでした」。幸い祖父母宅は土台を高くしていたため祖父は無事だったが、周囲の住宅や車は波に流された。

 恐怖はその1日だけでは終わらなかった。1か月後の4月11日、いわき市で最大震度6弱を観測した福島県浜通り地震が襲った。兄と2人で自宅にいた竹内は、倒れてきた扉に頭を強打。津波がくる恐れもある中で避難した方がいいのか、幼いきょうだいには判断ができなかった。室内がめちゃくちゃになった自宅の前で、雷雨の中で傘も差さずに手をつないで泣きながら母の帰りを待つしかなかった。「この日のことはトラウマです」

 震災前からやっていたトロンボーンが救いになった。小・中学校では吹奏楽部に所属。団体で全国大会にも出場した。個人としても県選抜に選ばれたことで、復興を銘打ったコンサートで演奏する機会もでき、毎回「花は咲く」を披露した。

 「ボロボロ泣いちゃう人もいた。私も吹きながらもらい泣きしそうになりました。先生も指揮棒を振りながら目元を押さえていました。みんなそれぞれ見てきた景色があっても、心は一つなんだなって思いました」。音楽を通して地元の人と交流するうちに、傷ついた心が少しずつほぐれていった。

 もうすぐ10年。「(当時の思い出は)目を背けたくなるけど、受け止めて次の世代へ発信していくことも大事」と、今は思っている。

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