【五輪の恵】伊調馨の「明日」が人生を変える

伊調馨
伊調馨

 久しぶりに耳にした伊調馨の話はやはり興味深く、たくさんの言葉が心にストンと降りてきた。6日に行われた「女性スポーツフォーラム」。モチベーションの維持の仕方について聞かれた伊調は当たり前のように言った。「やっぱり毎日の練習の積み重ねです。反省して修正して、明日はこうしようって、その繰り返しです」

 レスリングで五輪4連覇を成し遂げた。より高みを目指し続ける姿に「求道者」という形容がしっくりはまる。自分の頭で考え、自分の体を動かす。そうして蓄えた経験談には、他にはない重みと説得力が伴う。

 心と体を整えていく過程で大切にしていることは何か。「試合になったら、それまでの練習の成果を出すことを一番念頭においてやるべきだ」と言った。「試合は発表会」は伊調がよく口にする言葉。「練習にいかに全力を注げるか、準備をできるかが大事」。準備の大切さ。トップアスリートが声をそろえるところで、すべての職業にあてはまる、何より難しい作業だ。

 週の半分は、練習後に落ち込みながら家に帰るのだとか。そんなときの対処法は「明日」を考えること。「明日はこういうふうに考えてみようとか、自分よりうまくない人とやって自信をつけようとか。いろんな工夫ができる。突破口や、新しい発見が生まれることもある」。うまくいかなかったことを次にどう生かすかで、人生は変わる。

 現在は日体大で女子選手の指導もしている。理論を言葉にできる選手だから、コーチとしても頼りになるだろう。学生とのスパーリングで手加減はいっさいしない。「ボコボコにします」。本気でやり合った方が、相手の練習になるからだ。「早く(私を)倒せって言っていますけど。まだまだ大丈夫ですね」と笑った。レスリングを極めるための作業は、まだまだ続いていく。

 ◆高木 恵(たかぎ・めぐみ)北海道・士別市出身。1998年報知新聞社入社。紙面レイアウト担当、ゴルフ担当を経て、2015年から五輪競技を担当。16年リオ五輪、18年平昌五輪を取材。

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