凱旋門賞制覇を夢見る2年目の秋山稔樹騎手 イチローさんの名言を人生の教科書に

 デビュー2年目を迎える秋山稔樹騎手(19)=美浦・蛯名利弘厩舎=が大きな夢を描いている。「凱旋門賞を勝ちたい―」。まだ19歳の若武者には現実離れした夢にしか思えなかったが、名選手の金言を胸に夢へと突き進む姿が印象的だった。

 そんな秋山稔騎手にとって2021年は幸先いいスタートとなった。初日(1月5日)の中京7Rでコウユークロガヨカに騎乗。2番手から冷静に抜け出して1着となり、今年の初勝利をマークした。「今年最初の週に勝てたのは良かったですね」と新年早々の初勝利を喜んでいた。

 1年目は17勝。同期で最多の泉谷颯真騎手(19)=栗東・本田優厩舎=には2勝及ばなかった。「満足していないですね。乗せてもらっている馬のことを考えるとまだまだ足りないし、取りこぼしが多いです」と自らの未熟さを口にする。調教も毎日早朝から休む暇もないほど乗り続ける時もある。

 日々真摯に馬と接する中で、支えにしている言葉がある。ふとした時に目にして、自らに言い聞かせる。日本人外野手として初のメジャーリーガーで、2019年に現役を引退したイチローさんの名言だ。実際に会ったこともなく、プレーを生で見たこともないが、テレビや雑誌などの発言に次第にひきこまれていった。「雰囲気とか考え方ですかね。ストイックな感じもあるし、共感できるって一番思えました」。その中でいくつか好きな言葉を教えてもらった。

 「結果が出ないとき、どういう自分でいられるか」

 「無駄なことって無駄じゃない」

 競馬でなかなか勝てない時などにスマホなどで検索してよく見るという。「モチベーションの維持じゃないですけど、自分がやろうとしていたことの意味、方向性がぶれてきたときに勇気づけられるんです」。続けて「失敗しても人間として前進している感覚を持つこと、遠回りすること、落ち込むことは大事。失敗を前に進むための糧にできる人が成功すると思うんです」と話す。くじけそうになった時に原点に立ち返らせてくれる心のより所でもある。

 2011年、小学4年の時に競馬専門誌の凱旋門賞応援ツアーに参加した。日本からはヒルノダムール(10着)、ナカヤマフェスタ(11着)の2頭が参戦していたが、世界最高峰とも言うべきフランスのG1レースの雰囲気に圧倒された。「日本で競馬を見るのと全然違いました」。競馬好きだった父の影響で子どもの頃から中山競馬場に足を運んできたが、それまでのどのレースとも比べものにならないほどの空気感に、見る側ではなく、騎手として参加し、そして勝ちたいという気持ちになった。「凱旋門賞を勝ちたいですね。自分の人生の中では最大の夢です」と臆することなく口にする。

 イチローさんの言葉は世界で勝つための“ヒント”であり、人生の“教科書”。偉大なプロ野球選手から学び、偉大なジョッキーへ駆け上がろうとする秋山稔騎手から目が離せない。

(中央競馬担当・恩田 諭)

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