全国Vの天理大ラグビー部卒部式に“潜入”取材

スポーツ報知
卒部試合を終え、部員と抱擁を交わした天理大・フランカー松岡大和(左から3人目)

 今冬の全国大学選手権で初優勝した天理大ラグビー部が6日、奈良・天理市の白川グラウンドで卒部式を行った。昨年8月、新型コロナの集団感染という困難を乗り越え、創部96年で初の頂点をつかんだ天理大フィフティーン。かけがえのない時間を過ごす彼らの所へ、1年前まで大学生だった私は「学生時代が懐かしい…」という感情を抑えつつ卒部式に“潜入”取材した。

 雲一つない快晴のもと、1~3年生部員が作った花道を通って、Vメンバーのフランカー松岡大和前主将やセンターのシオサイア・フィフィタ前副将ら4年生が笑顔で登場した。13時30分過ぎに“卒業マッチ”がキックオフ。黒のファーストジャージーを着た4年生と、1~3年の各チームが20分間の真剣勝負を繰り広げた。どこからか「全然走ってないからしんどい」「20分は長すぎる」という声も聞こえてきたが、やはり日本一になった天理大。学年が上がるにつれて試合は白熱し、部員たちのボルテージも上がっていった。2年生チームがまさかの先制トライを決めると、沸き上がるグラウンド。途中、4年生の女子マネジャー2人も参加し、選手たちから浴びせられた優しいタックルをかわしてトライ。4年分の感謝の拍手に包まれた。試合後、初の日本一で手にしたトロフィーを前にまぶしい笑顔で集合写真に納まる天理フィフティーン。最高の表情を納めるため、私は何度もカメラのシャッターを切った。

 例年、試合後は屋内に場所を移して部員たちがあいさつなどを行うが、新型コロナの感染対策のためグラウンドで行われた。1995年からチームを指揮する小松節夫監督(57)は「毎年ブレザーを着て写真を撮るんです。今年はファーストジャージーを着て、このような状況だからそうなったんですけれども、それを見てかえってよかったなと。この年だけグラウンドで前に優勝カップを並べて写真を撮れた。一生記念に残る」と、いつもとは違う卒部式の風景も喜んだ。

 その後、小松監督は4年生部員との思い出や、これまで悔し涙を流したOBたちの思いについて約10分間熱く語った。「創部96年目、悲願の初優勝。天理中、天理高、天理大の中で日本一になっていないのは大学だけ。それがようやく今年達成することができた。4年生が歴史を変えた成果だと思います。やはり忘れてはならないのは、過去の先輩たちが同じように何回も悔し涙を流して頑張ってきた成果。そのことも全て含めて分かっている学年じゃないかなと思います」。

 4年生部員は小松監督から記念品を受け取り、一人ずつスピーチ。笑いあり、涙あり。取材用のボイスレコーダーを止めると1時間が経過していたが、それぞれの思いが詰まった話に自然と聞き入ってしまった。最後は松岡前主将が気持ちのこもったあいさつで締めた。「この1年、コロナという大きな壁にぶつかって、たくさんの方々に支えていただきました。感謝という言葉をここまで深く考えたことはなく、今も感謝の気持ちでいっぱいです。もらったパワーがより一層強くしてくれました。この仲間と出会えたことは一生の財産。優勝という景色をみんなで見られたことは、大きな宝になりました」。きれいな夕日に照らされながら、涙を拭った。松岡が「うれしさより、さみしさの方が大きいです」と4年間を振り返った表情には、様々な感情が入り交じっていた。

 松岡前主将やフィフィタ前副将など選手36人中、20人が卒業後もトップリーグや社会人ラグビーを続けるという。「クラブの歴史始まって以来の大人数がラグビーを続けます」と小松監督。連覇の夢を後輩たちに託し、「天理大Vメンバー」はもうすぐ新たなスタートラインに立つ。今後、全国各地で輝きを放つ彼らに出会える日が楽しみで仕方ない。

(記者コラム・菅原美沙)

◇天理大の主な選手進路

〈1〉谷口祐一郎(リコー)

〈3〉小鍛治悠太(東芝)

〈5〉中鹿駿(JR西日本)

〈7〉松岡大和(NTTドコモ)

〈9〉藤原忍(クボタ)

〈10〉松永拓朗(東芝)

〈12〉市川敬太(中部電力)

〈13〉シオサイア・フィフィタ(近鉄)

〈14〉土橋源之助(JR東海)

【注】〈〉内数字は背番号

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