【有森裕子の本音】マラソン界でもニューノーマル

有森裕子
有森裕子

 先週行われた大阪国際女子マラソン。東京五輪代表の一山麻緒選手が大会記録で優勝しましたが、男子がペースメーカーを務め、市街地ではなく公園内の周回コースだったことが賛否両論を呼んだことは、皆さんもご存じかと思います。

 私は陸連理事として大会の組織委員に入っており、当日はテレビで解説もしました。大会を終え、周囲の意見を耳にしての感想は「さまざまなスタイルの大会があってもいいのではないか」というものでした。

 今回の大会は一山選手と一昨年のMGCで優勝した前田穂南選手が出場するということもあり、コロナ禍で沿道での応援ができない中、大会を盛り上げるために「日本最高を目指す」ことが一つの“目標”として設定されました。男子のペースメーカーを導入したのも、その目標達成が理由でした。

 タイムを目指す、トップランナーを育てるという意味では、この試みは間違っていないと思いますし、経験は今後の走りにも生きてくるはず。残念ながら日本最高は出ませんでしたが、大会の注目度が上がったことも間違いないでしょう。

 ただ、うまくいったからといって、「今後も同じように…」ということではありません。あくまで、新たな大会の形を作るきっかけとするべきだと思います。新型コロナにより「ニューノーマル」という言葉が聞かれるようになりました。マラソンの世界でも社会に受け入れられるよう考えていく上で、今回の大会は一つのヒントとして、今後も形態を模索していく必要があるかと思います。

 その上で、絶対に欠かせないのが丁寧な説明です。参加者だけでなく、大会を観戦する一般の方にも公正、かつ安全な大会であることを理解してもらうことで、これまで同様に温かい応援をいただけるものだと考えています。(女子マラソン五輪メダリスト)

社会

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